合併直後の自社株評価


合併直後の自社株評価については、類似方式が1,2年使えないとある次の解説がある。

  平成15年7月3日(木)第5528号 国税速報
(ポイント解説)
「財産評価実務上の重点事項」(8)
     −類似業種比準方式−
               渡邉定義・森若代志雄

 なお、これについての批判なコメントとして合併後の株価計算 がある。

 これは国税庁・課税部資産評価企画補佐の現役(当時)が書いたものなので、無視はできませんが、これにより、画一的に否認されるというのにも疑問があります。

 総まとめは、下の表ですが、これで合併直後の1・2年につき、類似業種比準方式の採用を否認されたという事例は、未だ聞いたことがありません。

 これについては、
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「詳説 自社株評価Q&A 」
ISBN:4433228648
清文社 (2004-12-20出版)

・尾崎 三郎【監修】・竹内 陽一・掛川 雅仁【共編】
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で、詳しく触れていますので、是非、お読み下さい。

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 9期末  10期末  11期末  12期末  13期末
---┼--A社--┼-(合併)-┼--------┼--------┼--
         ↑Z   Y    X
───-B社-───┘

(注) X、Y、Zは、それぞれ「課税時期」を示すものとします。
また、A社及びB社は、いずれも大会社であり、同種の事業を営むものとします

┌───────┬─────┬─────────────┬───┐
│   課税時期│     │             │   │
│比準数値の取 │  X  │      Y      │ Z │
│り方と評価方法│     │             │   │
├─┬─────┼─────┏━━━━━━━━━━━━━┯━━━┓
│類│単体方式 │  ○  ┃      ×      │ × ┃
│ ├─┬───┤(但し利益┃┏━━━━━┯━━━━━━┓   ┃
│似│ │合併の│金額を直前┃┃     │      ┃   ┃
│ │合│前後で│2年間の平┃┃合併期日が│(利益金額と┃   ┃
│業│ │会社実│均値とする┃┃直前期末の│純資産価額の┃   ┃
│ │ │態に変│ことは不 ┃┃翌日の場合│比準2要素を┃   ┃
│種│算│化があ│可)   ┃┃     │基に算定) ┃   ┃
│ │ │る場合│     ┃┃     │      ┃   ┃
│比│ ├───┼─────┗┛─────┴──────┗━━━┛
│ │方│合併の│  ○  │      ○      │ ○ │
│準│ │前後で│(利益金額│(比準3要素を基に算定) │(比準│
│ │ │会社実│について直│┌─────┬──────┤3要素│
│方│式│態に変│前2年間の││合併期日が│   ○   │を基に│
│ │ │化がな│平均値によ││直前期末の│(比準3要素│算定 │
│式│ │い場合│ること可)││翌日の場合│を基に算定)│   │
├─┴─┴───┼─────┼┴─────┴──────┼───┤
│純資産価額方式│  −  │      ○      │ ○ │
│(類似業種比準│(但し類似│(評基通189−2に準ずる│(評基│
│方式の適用が不│業種比準価│なお、選択によりLの割合を│通18│
│可の場合→網掛│額が純資産│0.25とした併用方式の適│9−4│
│け部分に対応)│価額を上回│用可。この場合の比準要素は│に準ず│
│       │る場合は適│純資産価額のみ)     │る) │
│       │用可)  │┌─────┬──────┤   │
│       │     ││合併期日が│   −   │   │
│       │     ││直前期末の│(但し類似業│   │
│       │     ││翌日の場合│種比準価額が│   │
│       │     ││     │純資産価額を│   │
│       │     ││     │上回る場合は│   │
│       │     ││     │適用可)  │   │
└───────┴─────┴┴─────┴──────┴───┘
(注) 合併の前後で会社実態に変化がないかどうかは、もっぱら事実認定に属する問題である。

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