減資の場合の課税関係 v2.0 | |||||
払い戻しをする場合 | 払い戻しをしない場合 | ||||
分 | 株主に対する持分比率に応じての払い戻しをする方法 | 有償による強制消却 | 自己株式を買い受けて消却する方法(任意消却) | 資本金の減少 | 無償による強制消却 |
類 | |||||
株数は減少しない | 株数は減少する | 株数は減少する | 株数を減少しない場合 | 株数は減少する | |
通常の減資手続(有償)であり、減資と同時に株数を減少(併合)させる場合があるが、併合と減資は無関係。 | 設立の当初から清算を予定している会社が定款に消却を定めている場合と、償還株式(種類株式・株式の買受と利益を以てする株式の消却)の場合。 | 株式を消却しても資本は減少しません。ただ、課税関係の理屈は、金庫株の買い取りと、その後の消却を基準に考えると理解が容易だと思いますので参考に。 | 通常の減資手続(無償)であり、減資と同時に株数を減少(併合)させる場合があるが、併合と減資は無関係。 | ||
内 | |||||
容 | |||||
第375条(資本減少の決議) 資本の減少を為すには減少すべき資本の額及左の各号に掲ぐる場合に於ける其の各号に定むる事項に付第343条に定むる決議を為すことを要す ◆1 株主に払戻を為す場合 払戻に要すべき金額 |
第213条(株式の消却 資本減少・定款の規定による場合) 株式は前条の規定に依るの外資本減少の規定に従ふ場合又は定款の規定に基き株主に配当すべき利益を以てする場合に非ざれば之を消却することを得ず 第375条(資本減少の決議) 資本の減少を為すには減少すべき資本の額及左の各号に掲ぐる場合に於ける其の各号に定むる事項に付第343条に定むる決議を為すことを要す ◆2 株式の消却を為す場合 消却すべき株式の種類及数消却の方法並に消却に要すべき金額 |
第212条(株式の消却) 会社は取締役会の決議を以て其の有する自己の株式を消却することを得 |
第375条(資本減少の決議) 資本の減少を為すには減少すべき資本の額及左の各号に掲ぐる場合に於ける其の各号に定むる事項に付第343条に定むる決議を為すことを要す ◆3 資本の欠損の填補に充つる場合 填補に充つるべき金額 |
第213条(株式の消却 資本減少・定款の規定による場合) 株式は前条の規定に依るの外資本減少の規定に従ふ場合又は定款の規定に基き株主に配当すべき利益を以てする場合に非ざれば之を消却することを得ず 2 第215条第1項第2項及第220条第4項の規定は前項の規定に依り株式を消却する場合に之を準用す 第375条(資本減少の決議) 資本の減少を為すには減少すべき資本の額及左の各号に掲ぐる場合に於ける其の各号に定むる事項に付第343条に定むる決議を為すことを要す ◆2 株式の消却を為す場合消却すべき株式の種類及数、消却の方法並に消却に要すべき金額 ◆3 資本の欠損の填補に充つる場合填補に充つるべき金額 |
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商 | |||||
法 | |||||
の | |||||
根 | |||||
拠 | |||||
条 | |||||
文 | |||||
会 | 法法2十八ヲ | 法法2十八ワ | |||
社 | 法法2十七ツ | 法法2十七ネ | 法法2十七ヌ | 法法2十七ネ | |
株主 | 法法24@三 法令23@三 | 法法24@四 法令23@四 | 法法61の2@? | ||
会社 | 法法61の2F 法令119の9 | 法法61の2@ | (法法22B?) | ||
株主 | 所法25@三 所令61@三 | 所法25@四 所令61@四 | |||
個人 | 措法37の10C三 措通37の10−25 | 措法37の10C四 | 措法37の10C四 | ||
ツ 資本若しくは出資の減少(株式を消却したものを除き、金銭その他の資産を払い戻したものに限る)又は解散による残余財産の一部の分配の直前の資本等の金額を基礎として政令( 簿価純資産と払い戻し金額のプロラタ按分計算)で定めるところにより計算した金額(減資資本等金額)から減資等により減少した資本の金額を減算した金額(減資資本等金額が当該減資等により交付した金銭の額を超える場合には、超える部分の金額を減算した金額)(を資本積立金から減額する) ヲ 第17号ツに規定する合計額が第17号ツに規定する減資資本等金額を超える場合における当該超える部分の金額 |
ネ 株式の消却(取得した株式について行うものを除く)の直前の資本等の金額を発行済株式の総数で除して計算した金額に消却に係る株式の数を乗じて計算(株式数によるプロラタ按分計算)した金額(消却資本等金額)から、消却により減少した資本の金額を減算した金額(消却資本等金額が当該消却により交付した金銭の額を超える場合には、当該超える部分の金額を減算した金額)(を資本積立金から減額する) ワ 第17号ネに規定する合計額が第17号ネに規定する消却資本等金額を超える場合における当該超える部分の金額(を利益積立金から減額する) |
ナ 株式の消却(取得した株式について行うものに限る)の直前の株式の帳簿価額を株式の数で除し、これに消却に係る株式の数を乗じて計算した金額から、消却により減少した資本の金額又は出資金額を減算した金額(を資本積立金から減額する) |
ヌ 資本又は出資の減少(株式を消却したもの及び金銭その他の資産を交付したものを除く)により減少した資本の金額又は出資金額に相当する金額(を資本積立金額とに加算する) |
ネ 株式の消却(取得した株式について行うものを除く)の直前の資本等の金額を発行済株式の総数で除して計算した金額に消却に係る株式の数を乗じて計算(株式数によるプロラタ按分計算)した金額(消却資本等金額)から、消却により減少した資本の金額を減算した金額(消却資本等金額が当該消却により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額を超える場合には、当該超える部分の金額を減算した金額)(を資本積立金から減額する) | |
条 | |||||
文 | |||||
発 | 金庫株の帳簿価格 80万円 | ||||
行 | 減少する資本の金額−50万円 | ||||
会 | 資本積立金の金額 =30万円 | ||||
社 | |||||
本文の意味……(1株当たりの資本等の金額350<交付金銭の合計額400) |
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1株当りの資本等の金額 350 | |||||
減少する資本の金額 -200 | |||||
資積金から減算する金額 =150 | |||||
ワの金額(利益積立金) 50 | |||||
括弧書きの意味……(1株当たりの資本等の金額350>交付金銭300万円) |
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1株当りの資本等の金額 350 | |||||
減少する資本の金額 -200 | |||||
仮計 150 | |||||
超える部分の金額 -50 | |||||
資積金から減算する金額 =100 | |||||
第61条の2(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入) 7 内国法人が法人の資本の減少(株式が消却されたものを除く)による払戻し又は解散による残余財産の一部の分配を受けた場合における第1項(譲渡損益)の適用については、同項第2号(譲渡原価)の金額は、株式の払戻しの直前の帳簿価額を基礎として政令(簿価純資産と払い戻し金額のプロラタ按分計算)で定めるところにより計算した金額とする。 第119条の9(減資等の場合の株式の譲渡原価の額等) 法第61条の2第7項に規定する政令により計算した金額は、株式の帳簿価額に払戻し等に係る第23条第1項第3号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割合(簿価純資産と払い戻し金額のプロラタ按分計算)を乗じて計算した金額とする。 第23条(所有株式に対応する資本等の金額又は連結個別資本等の金額の計算方法等) 3 資本の減少による財産の分配を行つた法人の払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等(資本等の金額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額をいう)を当該払戻法人の当該直前の発行済株式等の総数で除し、これに同項に規定する内国法人が当該直前に有していた当該払戻法人の当該払戻し等に係る株式の数を乗じて計算した金額 イ 当該払戻法人の前期期末時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を控除した金額 ロ 当該払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額 |
第61条の2(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入) 内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。 ◆1 その有価証券の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額を控除した金額) ◆2 その有価証券の譲渡に係る原価の額 |
第61条の2(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入) 内国法人が有価証券の譲渡をした場合には、その譲渡に係る譲渡利益額又は譲渡損失額は、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。 ◆1 その有価証券の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額を控除した金額) ◆2 その有価証券の譲渡に係る原価の額 |
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条 | |||||
文 | |||||
株 | |||||
主 | |||||
37の10−25(譲渡所得の収入金額とみなす金額−払戻しの場合) 資本の減少により金銭の交付を受けた場合の譲渡所得の収入金額と収入金額から控除すべき取得価額は次の算式によって計算した金額となる。 取得価額=旧株の従前の取得価額の合計額×純資産減少割合 純資産減少割合=払い戻しにより交付した金銭の合計額÷(その法人の資産の帳簿価額−その法人の負債の帳簿価額) |
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通 | |||||
達 | |||||
資 | ◆ 資本構成(発行済み株数1万株) | ◆ 資本構成(発行済み株数1万株) | |||
本 | 資 本 金 200万円 | 資 本 金 350万円 | |||
構 | 資本積立金 150万円 | 欠 損 金 100万円 | |||
成 | 利益積立金 100万円 | ||||
簿価純資産と払戻し金額のプロラタ按分計算(減資100万円の場合) | 株式数によるプロラタ按分計算(減資1株200の場合) |
◆1株を400で買い取った段階 | 減少した資本金額だけ資本積立金を増額する。要するに、資本等の金額
は変わらない。 |
減少した資本金額だけ資本積立金を増額する。要するに、資本等の金額
は変わらない。 |
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会 | 自己株 350 / 現金 400 | ||||
社 | 利積金 50 / | ||||
の | |||||
税 | ◆1株当り400を払い戻した | ◆1株消却し400を払い戻した | ◆1株を500で買い取った段階 | ||
務 | 資本金 100 / 現金 400 | 資本金 200 / 現金 400 | 自己株 350 / 現金 500 | ||
資積金 211 / | 資積金 150 / | 利積金 150 / | 資本金 100 / 資積金 100 | 資本金 100 / 資積金 100 | |
利積金 89 / | 利積金 50 / | ||||
◆ 消却した段階の処理 | |||||
350万円×払戻金÷純資産額 | 350万円×消却株数(1株) | 資積金 350 / 自己株 350 | |||
÷1万株=311円 | ÷1万株=350円 | (減資は当然には行われない) | |||
法令8条の2第8項は、小数点以下 |
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400÷450=0.88…切上て0.9 | |||||
350×0.9=315 | |||||
株 | ◆ 取得価格が400だった場合 | ◆ 取得価格が400だった場合 | ◆ 取得価格が400だった場合 | 処理は行わない。 |
◆ 取得価格が400だった場合 |
主 | 現金 400 / 有価証券 351 | 現金 400 / 有価証券 400 | 現金 400 / 有価証券 400 | 現金 0 / 有価証券 400 | |
の | 譲渡損 40 / 受取配当 89 | 譲渡損 50 / 受取配当 50 | 譲渡損 50 / 配当所得 50 | 譲渡損 400 / 配当所得 0 | |
税 | |||||
務 | ◆ 取得価格が500だった場合 | ◆ 取得価格が500だった場合 | ◆ 取得価格が500だった場合 | ◆ 取得価格が500だった場合 | |
現金 400 / 有価証券 444 | 現金 400 / 有価証券 500 | 現金 400 / 有価証券 500 | 現金 0 / 有価証券 500 | ||
譲渡損 133 / 受取配当 89 | 譲渡損 150 / 受取配当 50 | 譲渡損150 / 配当所得 50 | 譲渡損 500 / 配当所得 0 | ||
簿価500円×払戻金400万円 | 簿価500円×消却株数=500円 | 簿価500円×消却株数=500円 | 簿価500円×消却株数=500円 | ||
÷純資産額450万円=444円 | |||||
個人株主については所得税基本通達48−5で付け替え計算。なぜ、個人と法人の取り扱いが異なるのかは不明。 | |||||
なお,ここで重要なことは,対価ゼロが適正な対価であるかどうかという問題である。それが適正ではないと認められる場合には,適正な対価(消却の対象となった株式の時価)との差額は,株主については寄付金,発行法人については受贈益の課税問題が生ずることになるので注意を要する。(税経通信02,10) | |||||
低 | 低額譲渡の概念があり得ない | 低額譲渡課税を行わないと | 譲渡人に譲渡益課税 | ||
額 | なぜなら、株式数が減少しない | 金庫株との整合性が取れない | 発行会社に受贈益課税 | ||
譲 | |||||
渡 | |||||
の | |||||
場 | |||||
合 | |||||
Q 資本金 5000万円 欠損金 2000万円 の会社が株数を減少(50%)減資を実行し、資本金2500万円を減資する。この場合には、株主は帳簿価額の半額を損金に計上しても良いか。 A 2000万円は無償でokだが、500万円分は払い戻しをすべき。無償の場合は500万円について寄付金課税が生じる可能性がある。 T&A034号 プロからの税務相談 |
1株当たりの資本金1000円の会社が、半額減資し、2株を1株に併合する。この場合の2株を持つ株主についての課税関係は。 1株を無償で償却する場合。譲渡損1000円を計上し、残りの1株の株価は1000円になる。(税研105号) 資本金1000万円(発行済株式総数200株)、資本積立金額100万円の会社が。300万円の減資とともに60株を無償で消却した。 無償減資であっても,株式を消却するものについては、持株が消滅しているので、法人税法第61条の2第1項の規定により消却された旧株の譲渡損(滅失損)を計上することになる。 株式の消却を伴う無償減資が行われた場合には、株主は、譲渡対価ゼロ、譲渡原価(消却された株式の帳簿価額)相当額の譲渡損失額を計上することになる。(税経通信02,10) |
||||
所法25@ 所令61 | |||||
解 | |||||
説 | |||||
株数を減少しない場合 | 株数は減少する | 株数は減少する | 株数を減少しない場合 | 株数は減少する | |
払い戻しをする場合 | 払い戻しをしない場合 |