平成18年4月頃のtaxML[tax.188606] の情報

 譲渡所得の取得費に関し、実務上の取扱いとして、日本不動産研究所が発表する土地価格指数を利用する方法も認められるようです。今回の土地売却代金を3000万円とし、最近の指数が80、購入時の指数が60とすれば次のような計算です。

 3000万円÷80×60=2250万円

 土地価格指数は路線価図のHPに掲載されています。

 平成18年2月頃のtaxML[tax.181621] の情報

 先日、譲渡相談会に参加する税理士を集めた事前説明会で、資産税の統括官がはっきり明言しました。

 『不動産の当初の取得価額については、証拠資料が全くなくてもご本人の記憶だけで結構です。あまりに不自然な金額だったら、調べますけど。』

 その場にいた20人くらいの税理士の間にドヨメキが起こりました。

■譲渡資産の取得価額が不明な場合 5%基準適用についての一考察

 中野 洋[神田支部]
 或る更正事件

 筆者は或る納税者の依頼を受けて平成10年分所得税確定申告の作成を行った。
 その所得中に譲渡所得があり、譲渡収入金額は売買契約書から明確であるが取得費は、納税者の夫(死亡)の父(死亡)が昭和38年及び同43年に取得した土地の一部であり不明であった。

 そこで筆者は、名古屋地裁・高裁で容認された課税庁推計取得費の計算式(それは、財団法人日本不動産研究所刊行の「全国市街地価格指数」を用いて売却時の指数と取得年次の指数による計算である)に従って取得費を推計し譲渡所得の申告書を期限内に提出した。

 当然税務署から修正申告の慫慂があった。課税庁の指導する取得費は譲渡価額の5%というもので、法律的に何の根拠もない数値である。税理士としては現行税理士法1条(税理士の使命)に照らしても、また、租税法律主義からも応ずることはできない。

 種々説明を行なったが、税理士が課税庁に租税法を教えているようなもので、筆名の説明を理解してもらえなかった。そして平成12年12月26日付で更正通知処分が送達された。筆者は平成13年1月18日更正処分に対して異議申立書を提出した。

 === 略 ===

 以上のような異議申立理由に対して平成13年4月10日付で「申立人の主張する本件譲渡資産の取得費8,993,314円は相当であると認められますので、別表のとおり、本件更正処分及び本件賦課決定処分の全部を取り消します」という異議決定書が送達されて来た。全国的に譲渡収入金額の5%が取得価額であると指導して来た所得税確定申告が終了してから僅か25日より経ていない。

 異議申立先及び異議決定者は当然所轄の税務署長であるが、このような従来の国税庁の方針を180度変えた異議決定は税務署長1人では決定できない筈である。国税庁の何らかの方針変更があったものと推察される。方針変更があったのなら、それを速やかに納税者に伝えるべきであるというのが、平成11年4月から実施された総務庁の税務行政監察による国税庁の勧告であった筈であった。

(東京税理士界 2001年8月1日号)

 ■裁決事例集No.60−208頁

 平成12年11月16日裁決

 請求人が主張する本件宅地の取得費は、その支払先・支払金額を確認することができず、請求人の主張は認められない。

 本件建物の取得費は、取得時期は判明しているが取得価額が不明なもの(新建物)については、N調査会(以下「調査会」という。)が公表している着工建築物構造単価から算定する。

 本件宅地については、譲渡価額の総額から建物の取得費を控除して宅地の譲渡価額を算定したうえで、譲渡時に対する取得時の六大都市を除く市街地価格指数(住宅地)の割合を乗じて算定する。上記の算定方法は、調査会が公表した数値であり、市場価格を反映した近似値の取得費が計算でき、合理的であると認められる。

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