金融機関からみた企業評価


○債務者格付けの定量評価……スコアリング

(実態BS、PLによる表価)
 1.自己資本比率 …… これが総得点の1/3程度
  20%以上なら満点
  代表者借入金は自己資本に組み入れ、社長への貸付や仮払がある場合は自己資本から控除。
  代表者の身内の場合の取り扱いは不明。
 2.流動比率
  100%超なら満点
 3.固定長期適合率
  100%超なら満点
 4.借入・社債/月商
  3ヶ月くらいが基準
 5.売上高経常利益率
  10%以上必要
 6.総資本営業利益率
  プラスアルファ項目
 7.経常収支比率
  100%以上が基準

○銀行の対応のベースになっている引当金の率

 1.正常先  …… 0.5%
 2.要注意先 …… 5〜7%
  新規融資をするには高金利でなくては合わない
 3.破綻懸念先 …… (担保時価−担保価格)×15%
            (債権−担保時価)×80%
 4.実質破綻先 …… (担保時価−担保価格)×15%
            (債権−担保時価)×100%

 3と4は追加融資をすると80〜100%引当金を積まないといけないので、新規貸付はするはずない。

○銀行対応から債務者区分がわかる

 返済増額、追加担保要求、金利引上要求は要注意先に区分されたとの意味がある。
 この際保証人の追加や追加担保には応じてはいけない。
 応じても債務者区分は変わらない。
 その後の返済は元本優先にしてもらう。
 銀行も、破綻懸念先以下の融資先には元本回収を優先する。

○財務状況、取引状況と債務者区分

          財務状況       延滞
 要注意先  債務超過解消5年程度   1ヶ月(2回延滞)
 破綻懸念先    〃  5〜10年  2ヶ月(3回延滞)
 実質破綻先    〃  10年以上  3ヶ月(4回以上延滞)

○代表者や保証人個人の資産をきかれた時

 最低限のもののみ申告する。
 格付け下がったときにこのときの情報を元に担保を取るので。

○あるメガバンクの正常先のさらに細かい債務者格付と対応

 A …… 上場企業等
  ひたすら借りてくれ。金利1%未満もあり
 B …… とてもよい中小企業、帝国データで言うと65点以上
  借りてくれ、場合により無担保の場合もある。
 C …… 普通の中小企業
  担保を要求するが、でも、借りてくれ
 D …… 要注意先になりそう
  対応はあまりよくない、ビジネスローンを勧める
  金利上げてくれと要求する。

 ビジネスローンは、財務諸表のみで貸す。メガバンクの支店は省力化を図っていて細かいところはこのビジネスローンで対応して、どこかのセンターで一括管理。支店には大口のみ残すような方針らしい。

支店長とのコミュニケーションが大事

 金融庁の検査の現場は、
        ○検査官
      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 机
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   
      ○  ○  ○
     課長 支店長 審査係

 このような感じで、支店長が1社1社説明をして、検査官に評価についてあ〜だこーだといわれる。
 要注意先か破綻懸念先課のボーダーのような会社の場合、支店長がどれだけその会社のことを知っているかで運命が分かれる。
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