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 就職活動(就活)のシーズンになると、みなよく似たリクルートスーツに身を包んで会社説明会に赴く学生の映像が報道される。そして、翌春には、首尾良く就職に成功した学生たちが大企業の入社式に臨む映像が流れるのだが、著者は、いつも彼らを見て「悲惨だな」と思う。

 彼らの大半が、経済の「不利な側」に回って、企業に利益を吸われて効率の悪い一生を送る。そして、区別が付きにくいくらい同じスーツと表情に象徴されるように、彼らの大半は使う側から見て「取り替え可能な存在」として弱い立場で会社員人生を送る。

 正社員の立場を得たことに本人たちも安心し、親にも褒められる。しかし、親世代の時代と今とでは、有利な働き方・稼ぎ方のあり方がすっかり変わっていることに親子ともども気づいていない。持つべき働き方のマインド・セットは、ある部分ではかつてと「真逆」と言っていいくらいに変化している。

 生まれながらの大富豪のようなレアなケースを除くと、人生の豊かさを決める主な要素は働き方だ。

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 運用資金の全額を「全世界株式のインデックスファンド」に投資していい。インデックスとは株価指数のことだが、全世界の株式で構成されたインデックスに連動する投資信託に投資するのだ。

 今なら、通称「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」でいい。理由は、有利な形で分散投資されていて、運用の手数料が安いからだ。手持ちの運用資金のすべてを株式に投資することに抵抗感があるかもしれない。

 インデックスファンドに投資した場合の株式投資のリターンは、100年に2、3度クラスの「最悪の場合」でも1年に3分の1くらいの損失、同じくらいの確率の「幸運な場合」では4割くらいの利益、平均的には短期金利がほぼ0%なら年率5〜6%くらい、だと実務の世界や学者の間では考えられていて、父も「そんなものだろう」と思っている。

 正確な数字は誰も知らない。本書の執筆時点の日本の短期金利はほぼゼロなので、これプラス5%を見て、株式投資の期待リターンをおおむね「年率5%」くらいだと考える。現在の日本の税制では、実現した利益に対して約2割の税金が掛かるので、実質は年率4%くらいとなる。この条件に、運用資金のすべてを投入することに君は抵抗感があるだろうか?

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 仕事は興味が持てて価値観に反しないものなら何でもいい。面白ければ続けるといいし、面白くなければ変えたらいい。簡単な話だ。貴君は面接に強いから転職は自在にできるはずだ。

 お金の稼ぎ方では「株式」に上手く関わることがコツになる。起業でも、ベンチャーへの参加でも、ストックオプションをくれる会社への転職でもいい。

 私の時代は、出世したり専門家になったりして「労働時間を確実に高く売る」のが無難な道だったが、時代は変わった。株式性の報酬が有利だ。

 「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」ことを目指す古いパターンよりも、「自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る」のが、新しい時代の稼ぎ方のコツだ。リスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった。

 仕事で株式性のチャンスに恵まれない場合は、インデックスファンドの長期投資が効率のいい株式リスクとの付き合い方になる。これは、凡人でもできるけれども、一見偉そうな他の投資よりも優れている。お金にも働いて貰うといい。

 以上、平凡だけれども、経済評論家としてアドバイスしておく。貴君の今後が大いに楽しみだ。

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 自分の残りの持ち時間を推測しながら、自分の行動選択を最適化するのが基本方針だ。「やりたいこと」は持ち時間に応じて複数ある。

 私のやりたいことは、(1)正しくて、(2)できれば面白いことを、(3)なるべく多くの人に伝える、の3条件に集約できる。

 経済の仕組みや金融ビジネスの企みについて、他人よりも先に気づいて、できれば辛辣且つユーモラスに広く伝えることは張り合いがある。一冊一冊の本や、一本一本の記事の目的はその点にあるつもりだ。