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 その実験によれば、1日3回以上の水うがいで、風邪症状が36%減少し、うがい薬との差異は確認できなかった、という結果が出ています。
 逆からいえば、1日3回水でうがいするだけで4割近く風邪予防に効果を発揮できるのです。うがい薬の使用にこだわらず、外出中でもこまめにうがいをすることが有効です。

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 唾液は、ウイルスなどの侵入者に対する最初のブロック機能の役割を果たします。
 唾液を出すには、飴玉を舐めたり、ガムを噛むのが手っ取り早い方法でしょう。
 ただし、飴玉を大量に食べると、糖分過多や虫歯などのリスクが伴います。
 その点、ガムは、キシリトール配合のものなど、砂糖不使用や砂糖含有量の低い商品がたくさん市販されています。

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 80名の37℃以上の熱がある患者を対象にした比較試験では、痛み止め・解熱剤などを使用したグループより、適切な漢方薬を飲んだグループは、発熱の持続期間が1日近くも短縮され、風邪症状の持続期間も短かった、という結果が出ました。
 また、風邪と診断された3歳以上の外来・入院患者171名の比較試験では、総合感冒薬を投与したグループに比べて、麻黄附子細辛湯エキス顆粒(漢方薬の一種)を投与したグループのほうが、熱症状が2日近く、せき・たん症状が1.5日ほど短かったという統計データがあります。
 さらに、192名を対象とした試験では、小青龍湯(漢方薬の一種)による気管支炎に付随するせきの回数、せきの強さ、せき・たんの切れの改善に優れ、くしゃみ、鼻詰まりに関しても優れた改善傾向がみられました。
 そして、26名の非喫煙者を対象とした麦門冬湯(漢方薬の一種)とデキストロメトルファン(西洋薬の一種)を比較した研究では、麦門冬湯群のほうが内服後速やかにせきを抑える効果が現れました。
 麻黄湯(漢方薬の一種)はインフルエンザの解熱効果がオセルタミビル(タミフル)より17時間も早く現われたという実験結果もあります。