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1 後見人が不祥事を起こしても誰も責任を取ってくれない!
第三者後見人の不祥事が後を絶たない。発覚している主なものだけでも次のとおりである。
A 司法書士の主な不祥事例
@ 司法書士A(仮名「高齢者を支える会」所属)は、平成16年8月4日、甲老人ホーム に入居する被後見人Zの施設使用料の支払いをしなかった。被後見人である精神障碍者Zに年間2、3回しか面会せず日常生活費も一括して本人の口座に送金しただけで、年金の管理もしていなかった。(東京)
A 司法書士Bは、仮名「高齢者を支える会」に所属しその役員まで務めたことがあったが、77歳の高齢女性と任意後見契約を結び、同時に締結した財産管理契約に基づいて1年半の間に500万円もの報酬をとったとして女性から解任された。(平成18年9月15日付け新聞報道)(東京)
B 司法書士C(仮名「高齢者を支える会」所属)は任意後見契約の本人が死亡後、その相続財産である預金等を平成19年9月以降、順次解約し、自己の複数の個人口座に入金したうえで私的に流用した。(神戸)
C 司法書士Dは、財産を管理していた女性の預金口座から無断で295万円を引き出し使 途不明となっていることがわかった。(平成20年10月30日付け新聞報道)(福井)
D 司法書士E(仮名「高齢者を支える会」所属)は平成21年6月17日ほか数回にわたって合計で9200万円を被後見人Yの預金口座から引き出して私的に流用した。同じくEは、平成29年9月11日、被後見人Xの預金から300万円を引き出し、私的に流用した。その他、他の被後見人からの流用分を含めると、私的流用は合計で1億3700万円にもなるが、平成24年2月現在では被害弁償は3000万円に達していない。なお、その司法書士は、県の司法書士会の元会長であった。(沖縄)
E 司法書士F(仮名「高齢者を支える会」所属)は、被後見人の財産を含め1100万円以上を流用しFXなどに投資したうえで失敗し、自宅で平成21年12月自死した。(東京)
F 司法書士G(仮名「高齢者を支える会」所属)は、被後見人の財産から金員を流用した として、平成22年10月12日、検察庁に自首し同日、逮捕された。(静岡)
G 司法書士H(仮名「高齢者を支える会」所属)は、成年後見人として成年被後見人の現金及び預貯金の管理をしていたが、現金について平成26年4月に1133万円、5月に100万円を自己のために使って横領した。続いて8月、9月には銀行口座から810万円を横領した。その司法書士は県の司法書士会の元副会長であり、過去には仮名「高齢者を支える会」の地方役員も務めていた。(岡山)
H 司法書士I(仮名「高齢者を支える会」所属)は、平成26年12月24日付け新聞報道によると、受任していた法定後見案件の管理財産のうち、定期預金を数百万円単位で次々と解約し、その金員を私的に流用し、事務所経費、ギャンブル(競艇)、遊興費等に流用した。Iは県の司法書士会副会長でもあった。(徳島)
I 司法書士J(仮名「高齢者を支える会」所属)は、平成25年9月から26年12月までの間、90歳代の無職男性から預かっていた銀行のキャッシュカードを使い、計48回にわたり、管理していた口座から計611万円を払い戻し着服し横領した。司法書士は調べに対し、「計約600万円を引き出し、生活費や競馬などに使った」などと供述している。(平成27年1月29日付け新聞報道)(大阪)
J 司法書士K(仮名コ局齢者を支える会」所属)は、平成27年17月17日付け新聞報道によると、成年後見人として財産を管理していた高齢女性=死亡当時103歳=の銀行口座から現金約6750万円を着服したとして、東京地検特捜部は17日、業務上横領容疑でK(63)=千葉県柏市=を逮捕した。逮捕容疑は平成25年7月から26年11月、成年後見人として財産を管理していた女性名義の複数の預金口座から6回にわたり現金計6746万7824円を引き出し、着服したとしている。(東京)
K 福岡地検特別刑事部は平成27年11月26日、成年後見人として管理していた90歳代の女性の口座から現金約750万円を着服したとして業務上横領などの罪で司法書士Lを在宅起訴した。地検は認否を明らかにしていない。福岡家裁から今年2月に告発を受け、地検が捜査していた。女性はすでに亡くなっている。(福岡)
L 司法書士M(仮名「高齢者を支える会」所属)は、平成23年12月から平成25年2月までの間、被後見人の口座から自己の用途に費消するため8回にわたり現金計104万円を払い戻して着服し横領した。平成28年法務局長から業務禁止の懲戒処分となった。(大阪)