令和7年5月x日出版予定
 税理士のための百箇条(第6弾)
  

 「十年一昔」と昭和の時代に語ったが、いま「3年一昔」の時代。ダイヤモンド・プリンセスで新型コロナが確認されたのが令和2年1月20日。当時、新型コロナの検査や治療方法は存在せず、イタリアの病院の廊下に患者が寝そべる風景が放映された。死病の恐怖を味わった。そしてコロナの終息が宣言されたが令和5年5月6日。わずか3年4ヶ月で、社会は、どれほど変化してしまったのか。

 新型コロナの出現以降に登場したのがテレワークという働き方、Web裁判、事務所の来客数の激減、一般素人にもメールで連絡する社会。コロナが終わって気付いてみればAmazon、Netflix、Uber Eatsの利用の日常化、それに続くChatGPTの登場。まさに、パンデミックは時代を進める。

 税理士のための百箇条の第1巻を出版した平成25年5月から第3巻を出版した平成31年3月までの平穏な日々、そして第4巻の執筆の途中から第5巻を出版した令和5年10月までのパンデミックの時代。税法の実務のコラムとして平穏な時代にスタートした百箇条シリーズだが、私にとって、その時々の歴史を記録する1冊になってしまった。10年後、いや、3年後に、どうして日本は凋落してしまったのか、それを遡って検証するときに、その時代、時代に自身で考えていたことを思い出す資料になる。そして第6巻の本書ではパンデミックの後の時代を語る。

 それにしても、私の最大の関心事は、不思議に思える世の中の作りの根底に存在する必然性。社会は整合性がとれている。時には矛盾が生じても、自ずから、その矛盾は調整して調和が取り戻される。それが人類を存続させてきた歴史だ。しかし、この頃は不調和な事象が目立つ。

 プーチンの侵略戦争、ネタニヤフのジェノサイドを批判しない欧米、トランプを再選させる米国の民主主義。Amazonによって退場させられる書店と多様な物販店。Netflixに負けそうなテレビ放送、地位を失いつつある日本のガソリン車、円安による中国人のマンション爆買い、温暖化、異常気象、移民問題、仮想通貨、日本銀行が引き受けた国債残高、引き上げられない金利、保険料の負担が限界に近づきつつある社会保険制度、非婚化、少子化、過疎化、高齢化。そしてChatGPTという人工知能が社会に与える影響。その現実に対して、どのように自身の人生を構築するのか。その知恵を探し続けた私語禄が本書だ。現実を理解しなければ社会に適応できない。

 「第62 残された資源」までは令和5年8月から月に3本の割合で税理士新聞に連載し、それ以降は急ぎ加筆した本書のオリジナルです。