企業再編成税制の申告調整


 参考  週刊税務通信2707号

★ 説例1

 適格合併で被合併法人に税務上の否認金が無く、被合併法人の資産を評価増して資本準備金として受け入れた場合(ケース1)


(条件)
 1)乙の合併直前のB/Sは次のとおりである。
           乙の合併直前のB/S
  ───────────────┬───────────────
    資   産  1,000 │ 負   債   700
                 │ 資 本 金   100
                 │ 利益準備金   200
 2)甲は乙を吸収合併するに当たり、乙の土地を200評価増して受け入れた。
 3)甲は、合併に際して資本金を100増加させた。
 4)甲は乙から引き継いだ資産及び負債の受入差額金額の500から、増加する資本金100を差し引いた400すべてを資本準備金として受け入れた。

● 甲の合併受入帳簿価額は次のとおりである。


          甲の合併受入帳簿価額
  ───────────────┬───────────────
    資   産  1,200 │ 負   債   700
  (土地の評価増200を含む。)│ 資 本 金   100
                 │ 資本準備金   400

● 甲の合併受入れに係る会計仕訳


    資   産  1,200 / 負   債   700
    (土地の評価増200)  / 資 本 金   100
                 / 資本準備金   400

● 甲の合併受入れに係る税務仕訳


    資   産  1,000 / 負   債   700
                 / 資 本 金   100
                 / 利益積立金額  200

● 申告調整仕訳(会計仕訳を税務仕訳に合わせるための別表5の調整)


    資本積立金額   400 / 土   地   200
                 / 利益積立金額  200

★ 説例2

 説例1で合併後に甲が土地を売却した場合の申告調整



 合併で受け入れた土地(会計上の帳簿価額500、税務上の帳簿価額300)を500で売却した場合には、次のような処理が行われます。

● 会計処理


    現   金    500 / 土 地     500

● 税務処理


    現   金    500 / 土 地     300
                 / 譲渡益     200

★ 説例3

 適格合併で被合併法人に税務否認金があり、被合併法人の資産を評価増して利益準備金として受け入れた場合



(条件)
 1)乙の合併直前のB/Sは次のとおりである。
           乙の合併直前のB/S
  ───────────────┬───────────────
    資   産  1,000 │ 負   債   700
                 │ 資 本 金   100
                 │ 利益準備金   200
 なお、乙の別表五(一)には、税務否認金として有価証券300がある。
 2)甲は,合併受入れに当たり、乙社の土地を200評価増して受け入れた。
 3)甲は合併に際して資本金を100増加させた。
 4)甲は乙から引き継いだ資産・負債の差額500から増加する資本金100を差し引いた金額を利益準備金400として受け入れた。

● 甲の合併受入れB/Sは次のとおりである。


           甲の合併受入B/S
  ───────────────┬───────────────
    資   産  1,200 │ 負   債   700
  (土地の評価増200を含む。)│ 資 本 金   100
                 │ 利益準備金   400
 なお、税務否認金のある有価証券については、乙の簿価で受け入れている。

● 甲の会計仕訳


   資   産   1,200 / 負   債   700
  (土地の評価増200)    / 資 本 金   100
                 / 利益準備金   400

● 甲の税務仕訳


   資   産   1,000 / 負   債   700
   有価証券      300 / 資 本 金   100
                   利益積立金額  500

● 申告調整仕訳(会計仕訳を税務仕訳に合わせるための別表5の調整)


   有価証券      300 / 土    地  200
                 / 利益積立金額  100