税法と民法の接点
法律の分野では、民法は税法よりも高尚であり、難しいとの認識があります。しかし、これは明らかに間違った認識です。
仮に、組織再編成の場合の青色欠損金の引き継ぎについて、その概念と要件を大学生に説明したら理解してもらえるでしょうか。相続時精算課税と相続放棄や遺留分減殺請求の概念を理解してもらうのも不可能です。
しかし、取得時効、消滅時効、遺留分減殺請求、相続放棄などの民法の概念を大学生に説明し、理解してもらうのは容易なことです。つまり、民法は大学生にでも理解できるが、税法は実務家でなければ理解できない学問なのです。
さらに指摘すれば、税法には、予測できない問題点が隠されている怖さと、難しさがあります。たとえば、会社に対する債権放棄について、株主に対して贈与税が課税されるとの意外性です。
民法にも、通説、反対説、少数説など、説が分かれる箇所がありますが、しかし、どのような説が存在するかは、ほとんどの問題点について解明済みです。ただ、何点かについて、どの説が判例として確定するかの結論がでていないだけのことです。しかし、税法では、どこに、どのような異なる考え方が潜んでいるかが明らかになっていません。つまり、思わぬ課税関係が地雷として埋められているわけです。
ちなみに、商法の場合はさらに簡単です。商法にも説が分かれる箇所がありますが、その内のどれが通説かの答えが出ています。それは法務省の登記通達であり、登記実務です。登記手続が不要な箇所での説の違いは、仮に間違った処理をしても、会社に内紛でも生じない限りは問題にはなりません。
監査や会計に至ってはさらに簡単です。試しに書店に出かけてみてください。監査の参考書などは、1冊、多くても3冊も置いてありません。監査は学問の領域にも到達していない、単なる事実の分野にすぎません。会計の参考書は多いのですが、これも上場会社でもなければ実害のないマニュアルに過ぎません。説が分かれる箇所などは皆無です。
以上のような意味で、税理士が民法を理解することは、非常に簡単なことなのです。その簡単さを、今日は説明させて頂こうと思います。しかし、簡単すぎる民法では居眠りがでてしまいます。そこで、ちょっと難しい税法の問題点を混ぜてみました。
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目 次
通謀虚偽表示
錯誤
取得時効
消滅時効
賃貸借
遺産分割
遺産分割のやり直し
限定承認
遺留分減殺請求
==校正作業中==
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