商法改正で会社分割が可能になりましたが、これを受けて改正された法人税法は、会社分割だけではなく、合併、現物出資、事後設立などを包括して、組織再編成税制とする全く新しい税制を導入しました。いままでの取り扱いとは全く異なる考え方を採用していますので、古い知識で合併などの処理をすると思わぬ課税を受けることになってしまいます。
そこで、合併を例に、組織再編成税制について入門を紹介すれば次の通りです。
まず、適格合併になるか否かが問題です。適格合併の要件を整えていれば良いのですが、その要件に欠け、非適格合併になってしまった場合は、被合併会社から合併会社への資産の移転は時価による譲渡とみなされてしまいます。つまり、被合併会社が、帳簿価格1億円で、時価が10億円の土地を所有していれば、それを合併会社に10億円で譲渡したものとみなしての法人税課税が行われるわけです。
さらに、非適格の場合は、被合併会社の利益積立金の引き継ぎが認められず、全てが資本積立金として受け入れられますので、利益積立金を持つ会社が被合併会社になる場合は、株主に対して配当所得課税が行われます。つまり、被合併会社が利益積立金5億円を有する場合は、それが合併会社には資本積立金として引き継がれることになりますので、利益積立金の資本組み入れが行われた場合と同様に、被合併会社の株主に対して5億円の配当が支払われたとみなされます。
しかし、適格合併の要件を整えていれば、譲渡益課税も、配当所得課税も行われません。資産は帳簿価格で合併存続会社に引き継がれ、利益積立金も、そのまま合併存続会社に引き継がれることになります。
そこで、適格合併になるための要件ですが、これは次の3つのいずれかに該当し、かつ、被合併法人の株主に合併法人の株式以外の資産が交付されないものとされています。
さて、組織再編成についての改正税法は昨年の年度末(3月)に成立しているのですが、このことについての法人税基本通達と、その解説が、先日、国税庁のホームページに掲載されました。通達だけではなく、解説までもが国税庁によって発表されたのは初めてのことです。
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/sonota/houzin/1053/01.htm