2 前記1、1ないし4で認定の各事実に審尋の全趣旨を勘案すれば、被申請人会社は、創業者の直系が代々代表者に就任しているいわゆる同族会社であり、右経営体制は今後も維持承継されるであろうこと、その業績は、阪神・淡路大震災とその後の長引く不況のため伸び悩みの傾向を呈しているものの赤字経営に陥るというものではないこと、及び申請人らは何ら被申請人会社の経営に参画することのない少数株主にすぎないことがそれぞれ認められ、これら事実によれば、本件株式は、売主である申請人ら側にとっては単に少数株主の有する少数株にすぎないが、買主である被申請会社側にとってはその代表者ら一族の保有する株式と一体となって支配株となるものであるということができる

 そうすれば、本件株式の売買価格は、配当還元法及び時価純資産法の併用方式により算定するのが相当であるところ、審尋の全趣旨によれば、被申請人会社においてはかつて配当を実施したことはなく、将来も配当を実施する意図のないことが窺えるので、配当還元法の採用に当たっては標準配当還元法によるのが相当であり、また、右判示のとおり被申請人会社は創業者の直系が代々代表者に就任してきた個人的色彩の強い会社であるから、その永続性もかならずしも高度に保証されたものとはいえないうえ、本件においては、被申請人会社の資産である不動産等が売買を前提とする正常価格として評価されているので、時価純資産法の採用に当たっては法人税控除方式によるのが相当である。