3月15日は最後のチャンス(光田)

活かしたい「最後のチャンス」−確定申告期限を控えて

◆1)毎年恒例の3月15日

 毎年のこととはいえ税理士事務所にとって慌ただしいシーズンが到来します。今年はカレンダーの関係で3月17日になりますが、通常3月15日が所得税や贈与税の申告期限であり、また3月末日が消費税の申告期限ですから、この時期はこれら期限のある作業に追われる日々が続きます。

◆2)もうひとつの3月15日

 ところで、この3月15日には毎年恒例の作業に係る期限以外にも重要な期限が到来することを忘れないようにしたいものです。

 まず、昨年度の申告についての更正の請求期限であることです。国税通則法は、法定申告期限から一年以内に限って更正の請求をすることができると定めていますから、所得税に関していえば前年度の申告に対する請求の期限がこの3月15日ということになります。

 次が嘆願書の提出期限です。納税者からの更正の請求は1年内に限られていますが、課税庁が行う減額更正処分は5年間可能です。したがって、1年を徒過してしまった過年度の申告書のミスは、嘆願書によって職権による減額更正を求めることになります。嘆願書の提出をアドバイスしなかったことを税理士のミスと認定した判決(平成14年6月12日前橋地方裁判所判決)もありますので注意が必要です。

◆3)税理士賠償保険を視野に入れた期限への対応

 さらに、税理士賠償保険の関係でも3月15日は重要な期限になります。たとえば、「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を失念した事例で、原則課税で計算すると100万円の納税で済むにもかかわらず、簡易課税による納税額は300万円になってしまうというケースです。

 このようなケースで届出を失念したことに気が付き、3月末日には泣く泣く300万円の申告と納税をした場合なら、納税者に与えてしまった200万円の損失は税理士賠償保険で補填されます。しかし、届出を失念していることに気付かず、3月末の申告期限に原則課税による100万円の申告と納税を行い、後に更正処分を受けてしまった場合は税理士賠償保険による救済はありません。税理士賠償保険で補填されるのは、過大申告の場合に限られ、過少申告の場合は免責されると理解されているからです(平成10年4月30日東京地裁判決)。

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私たち税理士がこの3月の申告期限までに対応しておくべきことは、1)14年分の確定申告の内容について十分な見直しをすること、2)13年分の申告内容にミスを見つけたら迷うことなく更正の請求手続をとること、3)12年以前の過去のミスに気がついたら嘆願書の提出による救済の可能性を探ること、そして、4)税理士賠償保険による救済を視野に入れた対応を講じることの4点です。

 いずれも貴重な「最後のチャンス」ですので、是非とも活かしたいものです。

                    taxMLグループ(担当 光田周史)