資本金の額が違うだけで、同じ所得であっても支払う税額が大きく変わることがあります。資本金の額が多くなると、税負担が増えるケースが大半です。中小企業者に対する税制上の優遇措置を受けられなくなる区切りの一つとして『資本金1億円』があります。
資本金が1億円を超えた場合のデメリットで主なものを拾い出してみると次のようになります。
上記は全て資本金の額で判定しますが、税務では『資本等の額』で判断・計算するものがあります。以下に例をあげます。
資本等の額は資本金と資本積立金の合算額です。資本金は決算書に記載されている金額を確認すれば済みますが、資本等の額は決算書だけでなく、別表5(一)の資本積立金額の計算に関する明細書の確認が必要となります。資本金と資本等の額は似て非なるものなので注意が必要です。
既に資本金が1億円を超えている場合でも、減資を行い資本金を減らすことで資本金が1億円を超えた場合のデメリットを回避することも可能です。ただし、無償減資では資本等の額は減少しません。減った資本金と同額の資本積立金が増えるためです。従って資本等の額で判断・計算する項目は減資前と変わりません。資本等の額を減少したい場合は有償減資を選択することになります。有償減資の場合には、株主にみなし配当課税が生じることもありますので注意が必要です。
taxMLグループ(税理士 奥田正名)