1)〜3)は、マルに数字に変えて下さい。
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株券の保管振替制度や保護預かり制度を利用せずに、手許に持っている株券のことを「タンス株」といいます。昔に取得した株をタンス株として持っている場合、当時の資料がないため取得価額が把握できないことがあります。このようなタンス株は平成16年12月31日までに特定口座に入庫することによって、取得価額を決めることができます。特定口座とは、株式の譲渡損益を証券会社が計算してくれる口座です。譲渡益について「源泉徴収あり」を選択すると、証券会社が計算した税額を天引きして納税を代行しますので、投資家は確定申告をしない方法を選択できます。
タンス株を特定口座に入庫する場合に取得価額とできる金額は次のいずれかで、投資家が自由に選択することができます。
1) 取引報告書や証券会社にある顧客勘定元帳などで実際の取得価額が把握できる場合には、実際の取得価額
2) 株券の裏面のコピーや名義書換代理人の発行した資料により名義書換の日が把握できる場合には、その名義書換の日の時価
3) 平成13年10月1日の時価の80%相当額(以下「みなし取得費」といいます。)
なお、タンス株券を入庫する場合には、1)については取引報告書の原本や顧客勘定元帳を、2)については株券の裏面のコピーなどを証券会社に提出する必要があります。
タンス株の特定口座への入庫は前述の3種類ですが、以下のような変わった現象が起きています。
1)実際の取得価額がわかっていても、みなし取得費での入庫可能
タンス株を取得した時の取引報告書が残っていて、その取得価額が100万円だったとします。この株式のみなし取得費が160万円の場合、特定口座へは、みなし取得費の160万円で入庫することが可能です。タンス株を入庫する際に取引報告書を提出しなければ、実際の取得価額がわかっていてもみなし取得費での入庫はできます。
2)平成13年10月1日以後に取得した株式でもみなし取得費での入庫可能?
平成13年10月1日以後に取得した株式でも、現物が手許にあればそれをタンス株として、みなし取得費で入庫することができるのでは、という疑問も出ています。タンス株を特定口座に入庫する際には、その株が平成13年9月30日以前に取得したものかどうかは、問われていないためです。
保管振替制度を利用している株式は、現在60〜70%程度といわれています。逆に言えば、まだ30〜40%の株券がタンスに眠っている状況です。タンス株の特定口座への入庫は、平成16年12月31日までの期間限定です。タンス株を所有している投資家にとっては、特定口座への入庫の際の判断が必要となる状況はまだまだ続きそうです。
taxmlグループ(税理士 田中 啓子)