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 免責条項の有効性(京都地裁平成7年4月28日)

 納税者が税理士と結んだ顧問契約書には、「委嘱事案の処理に必要な書類、帳簿及びその他の資料は、甲(委嘱者)において一切取り揃えるものとする。これらの書類の不備に基因して生じる委嘱事案の瑕疵は甲(委嘱者)の責任である。」との条項が含まれていた。当該納税者が、所有不動産を売却し、マンション用建物を購入した際に、その申告を税理士に依頼した。税理士は、買換特例を適用して申告を行ったが、実は、納税者は、過去に買換特例の適用を受けていた。

 確かに、税務顧問契約書には、前記のとおりの記載がある。しかし、税理士が依頼者の税務書類の作成過程において、依頼者から事情を聴取する際には、特に問題になりそうな点に言及し、事実関係の把握に努め、依頼者の説明だけでは十分に事実関係を把握できない場合には、課税庁で当該問題点を指摘し、調査を尽くさなければならない。