平成22年 8月25日作成 
 平成23年 3月29日改訂
 平成24年 2月13日改訂
 平成26年 6月17日改訂
 平成29年 5月16日改訂
 平成30年10月14日改訂
 平成31年 2月15日改訂
 平成31年 2月19日改訂
 平成31年 3月 6日改訂
 令和元年 8月 9日改訂
 令和元年 8月25日改訂
 令和元年 9月 6日改訂
 令和2年 1月 3日改訂
 令和2年 2月13日改訂
 令和2年11月24日改訂
 令和3年7月15日改訂
 令和3年7月19日改訂
 令和3年10月27日改訂
 令和6年税制改正
相続税の確認書(チェックリスト)


 1(税理士の守秘義務)
 相続人は、税理士から、税理士と税理士事務所の職員が守るべき守秘義務の内容と範囲について説明を受け、了解しました。第三者からの質問・照会があった場合においても、税理士は、相続財産の内容について開示しないことを約束しました。

 2(ペナルティの説明)
 相続人は、税理士から、相続税の申告が過少申告になっていた場合の加算税などのペナルティについて説明を受け、了解しました。隠ぺい仮装となっていた財産については、配偶者軽減の適用が受けられないことを承知しました。

 3(相続人の範囲)
 相続人の範囲については、相続税の申告書に記載した内容で間違いがないことを確認しました。遺言書が存在する場合は、それを税理士に示しました。

 4(相続財産の範囲)
 相続人は、相続財産と相続債務についての資料を提出し、かつ、被相続人の預金について、過去7年間の大口の収支を税理士に報告しました。被相続人の過去7年間の大口の支出について、それが贈与又は貸付金としての支出である場合には、遡って贈与税が課税され、又は相続財産に含まれることがあります。海外資産、別荘、金塊、タンス預金など、計上漏れの事例が報道されてますのでご注意下さい。なお、相続財産の計上漏れがある場合は、資産を脱漏した相続人に限らず、他の相続人の相続税額も増額させることになります。高額な書画や宝石類も相続財産に含まれます。相続開始の前(3年程度)のリフォーム費用も相続財産に加算すべきという意見がありますが、これの加算は必要がないと考えるべきです。

 5(所有不動産記録証明書)
 所有権の登録名義人と相続人は登記官に対して所有不動産記録証明書の交付を請求することができます。日本国内における自己を登記名義人とする不動産の一覧であり、いわゆる名寄せ制度で、記録がないことの証明書も交付されます。ただし、所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所は過去の一定時点のものです。


 6(地積規模の大きな宅地)
 地積規模の大きな宅地には評価減があり、その要件は次の通りです。地積が500平米以上(三大都市圏以外は1000平米以上)であり、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区にあること。市街化調整区域内の開発行為が可能な地域にあること。都市計画法に規定する工業専用地域に所在しないこと。容積率が400%以上(東京都の特別区は300%以上)でないこと。開発を行っているか否かなどは問われないので、既に高層マンションが建築されている宅地でも適用になります。

 7(土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価)
 土砂災害特別警戒区域内の宅地の評価額が減額されることになりました(財産評価基本通達20−6)。減額割合は「付表9 特別警戒区域補正率」に定める補正率を乗じて計算します。特別警戒区域は「がけ地」を含む場合が多いことから(財産評価基本通達20−5)「特別警戒区域補正率」 に「がけ地補正率」を乗じて計算することになり、その最小値は0.50になります。土砂災害特別警戒区域内はネットで検索可能です。
 東京都の場合 土砂災害警戒区域等マップ

 
 8(埋蔵物文化財包蔵地の評価減)
 埋蔵物文化財包蔵地に該当する場合は相続税評価額から発掘調査費用の80%相当額を差し引くことができます(裁決)。埋蔵物文化財包蔵地に該当する否かは教育委員会に問い合わせますが、ホームページで確認できる自治体もあります。
 東京都の場合 遺跡地図情報インターネット提供サービス


 9(土壌汚染地の評価減)
 土壌汚染対策法が平成15年2月15日から施行され、土壌汚染地であることが判明した場合は相続税評価額が減額されます(土壌汚染地の評価等の考え方について 情報)。評価減する金額は次の計算式で算定されます。

 土壌汚 汚染がないも 浄化・改善 使用収益制限 心理的要因に
 染地の=のとした場合−費用に相当−による減価に−よる減価に相
 評価額 の評価額   する金額  相当する金額 当する金額 


 10(名義預金など)
 相続人名義の預金でも、被相続人の収入を源泉とする場合は相続財産に含まれることと、同族会社の株式について、名義に関わりなく相続財産に含まれる可能性がある旨の説明を受けました。臍繰りや、被相続人からの贈与などの主張は認められないと覚悟すべきです。相続税の調査の大部分は名義預金と名義株式であることも説明を受けました。

 11(死亡退職金)
 被相続人が同族会社の役員である場合は、死亡退職金と弔慰金の支払いが認められます。死亡退職金の支給限度額は、一般的には「最終月額報酬×在職期間×功績倍率3倍」と理解され、弔慰金は給与の半年分とされてます。退職金を法人税の計算で損金に計上し、相続税の非課税枠「500万円×法定相続人の数」を利用します。弔慰金は相続税では非課税です。

 12(生命保険に関する契約)
 被相続人の死亡を原因として支払われる生命保険金に限らず、被相続人が保険掛け金を支払っていた生命保険契約についても解約返戻金相当額が相続財産に含まれます。令和3年1月から一括で生命保険契約の有無を問い合わせることができる生命保険契約照会制度が導入されてます。生命保険協会ホームページの専用フォームから申込手続を行い、利用料は1照会当たり3000円(税込)です。対象となる生命保険会社は国内で営業する全42社です。平成30年1月からは保険会社が税務署に提出する「支払調書」の提出基準が変更されています。契約者(保険料を払う人)と被保険者(保険の対象となる人)が異なる契約の契約者の死亡に伴う契約者変更が行われた場合も支払調書が提出され「生命保険契約に関する権利」の課税漏れも把握できるようになっています(日経マネー)

 13(生前贈与財産)
 相続人は、相続開始前3年以内の生前贈与財産((平成6年税制改正で相続開始前7年以内の生前贈与財産))の明細を提出し、あるいは生前贈与がないことを税理士に報告しました。さらに、相続人の中に相続時精算課税または贈与税について事業承継税制の適用を受けた者が存在しないことを確認しました。贈与の事実があり、それが6年以内の贈与で、かつ、無申告になっている場合は、遡及しての贈与税の課税の可能性があることと、これを被相続人の貸付金として相続財産に計上する方法で処理できる可能性があることの説明を受けました。

 14(相次相続控除)
 被相続人が、過去10年以内に相続財産を相続し、相続税を納税している場合は、納税した相続税の一部を今回の相続税から控除できる相次相続控除の適用があります。

 15(遺産分割の内容)
 相続人は、遺産分割の内容について、相続人の全員が、その意味内容に納得しており、遺産分割のやり直しは不可能であることを承知しました。小規模宅地等の選択についても、その意味内容を理解し、選択替えは認められないことを承知しました。小規模宅地の特例を受けた土地は、相続税の申告期限までの使用の継続と所有(売却は禁止)が必要であることを承知しました。

 16(事業承継税制)
 同族会社株式について、相続税の事業承継税制の説明を受け、制度の内容を理解しましたが、この適用を受けないことを選択しました。利子税が低率(0.7%)なので事業承継税制が取消された場合のリスクは小さいことの説明も受けました。

 17(物納と延納)
 相続税についての延納及び物納の制度の説明を受け、制度の内容を理解しましたが、これを採用しないことにしました。延納は金銭での納付が困難な場合に限り、物納は延納による納付が困難な場合に限ることの説明を受け、上場株式が物納財産の第1順位になったことも説明を受けました。

 18(連帯納付義務など)
 相続税額については、法定申告期限までの納付が必要であり、かつ、相続した財産の評価額を限度として、相続人相互に、連帯納付義務を負うことを了解しました。

 19(税務調査)
 相続税の申告については、原則として税務調査があり、土地や株式の評価などについて税務署から指摘を受け、修正申告が必要になる場合があることと、その場合は相続税の本税の他に、過少申告加算税と延滞税が課税されることを了解しました。

 20(相続財産の譲渡)
 取引相場のない株式については、相続税の申告期限後3年以内に限り、発行会社に譲渡した場合の譲渡所得の特例があることを了解しました(相続税が生じる相続人に限ります)。さらに株式だけでなく、相続した土地などの資産についても、相続税の申告期限3年以内の譲渡には相続税の取得費加算の特例があることを了解しました。被相続人が単身で居住していた建物で、相続によって空き家になった建物が昭和56年5月31日以前に建築された建物である場合には、建物と敷地を相続した相続人が、建物を取り壊すか、耐震工事をした上で建物と敷地を相続の開始があった日から3年目の年の12月31日までに売却した場合は譲渡所得金額から3000万円を控除する特例があることを了解しました。

 21(国外転出時課税)
 被相続人が時価が1億円以上の有価証券等を所有する場合で、相続人が海外に居住(日本の非居住者)している場合は、相続の時に、「その時における価額に相当する金額により、有価証券等の譲渡があつたもの」とみなされることを了解しました(所法60条の3)。この場合は相続開始から4ヶ月以内に譲渡所得についての準確定申告を行い、納税猶予と納税管理人の届出、それに担保提供手続を行う必要があることを了解しました。

 22(未分割の場合の対応)
 相続財産が未分割の場合は、相続税の申告期限から3年を経過した日から2ヶ月以内に、遺産が分割されなかったことについてやむを得ない事情がある旨の税務署長宛の届出が必要であり、その届出を怠った場合は、配偶者の相続税額の軽減と、小規模宅地等の評価減の特例が利用できないことを了解しました。遺産分割が完了した場合は、その日から4ヶ月以内(相続税法32条)、あるいは2ヶ月以内(二次相続の場合 国税通則法23条)に基づく更正の請求が必要です。この期間は税理士には管理できませんので、相続人各人が、これら期間を管理して下さい。

 23(所得税についての処理)
 被相続人が青色申告の承認を受けている事業を承継した場合でも、その地位は相続人には承継されず、相続人として新たに青色申告承認申請を行う必要があります。提出期限は相続開始日から4ヶ月ですが、9月1日以降の相続は12月31日、11月1日以降の相続の場合は翌年2月15日が提出期限です(所得税法147条)。青色事業専従者の給与額の届出は相続開始日から2ヶ月です(所得税法57条)。消費税の課税事業者選択届と簡易課税選択届(消費税法37条)の提出期限は相続が開始した年の12月31日まで猶予されています。

 24(申告書の保存期間)
 相続税申告書の保存期間は法律上は10年ですが、念のため20年間について保存して下さい。

 25(民法の改正 @)
 民法改正によって配偶者居住権の制度が導入されたことと、その評価方法の説明を受けました。将来、配偶者が死亡し、配偶者居住権が消滅した場合も、土地建物の所有者に対する相続税の課税は行われず、相続税の計算でのメリットがあることも説明を受けました。事情の変更によって配偶者居住権が放棄される場合は贈与税が課税されることと、その場合の相続時精算課税の利用についても説明を受けました。

 26(民法の改正 A)
 遺言書がある場合と、多額の生前贈与がある場合に限りますが、遺留分の侵害額の請求がなされた場合は、金銭による支払義務が生じることも承知しました。それを避ける為に遺贈を放棄するなどの対策を検討すべきことも承知しました。

 27(その他の確認事項)



                    令和  年  月  日
                税理士

                相続人

                相続人