会社法の現代化法案

 ==中小企業に与える影響==


 商法は、ここ数年で9回の改正になりました。そして、これら改正の集大成として、会社法現代化の作業が進められています。平成16年12月には、会社法(現代化関係)部会が「会社法制の現代化に関する要綱案」を完成しました。これが総会の決議を経て確定することになりますが、これと並行して、要綱案を条文化する作業が進められています。

 条文化は、また、大変な作業だと思いますし、条文が完成しないと具体的な内容が確定しないところがあるのですが、今回は、条文化する前の要綱案から想像するところで、会社法の制定後は、どのようなイメージの社会になるのかを説明してみます。条文化前の要綱案からの想像ですので、小さなところでは私の説明に勘違いがあるかもしれません。今日は、大きなプロフィールということでご理解ください。

 現在、商法には、総則、会社法、商行為法、海商法が載っているのですが、海商法は一般は利用しませんので、総則、会社法、商行為法が商法のメインになっています。

 商法というと、商売の法律のように感じますが、商売の法律として利用されるのは商行為法だけであって、大部分は、会社法という組織法、つまり、誰が偉く、誰が脇役かということを決めている法律です。改正法は、その中から総則と会社法を抜き出してしまいます。ですから、商法はどうなってしまうのかというと、総則がなくなり、会社法がなくなって、商行為法だけになってしまうわけです。そうなりますと、商法という法律はなくなってしまうのではないかと思います。そして、新しく作られる会社法は、商法の会社法だけではなくて、有限会社法を取り込んでしまうことになります。

 つまり、《1》商法から会社法部分を取り上げてしまう。そして、《2》有限会社法を会社法に取り込んでしまう。さらに、《3》譲渡制限会社には有限会社法理を適用する。これが会社法の基本的な思想になっているわけです。


 新しい情報に基づき、常に更新中の原稿です。更新した部分がわかるようにグリーン赤の文字にしておきます。

   目  次
第1 改正法の思想
第2 会社の設立を依頼されたら
 《1》会社の類型
  ●株式会社
  ●合同会社
  ●合資・合名会社
  ●有限会社
 《2》商号
 《3》資本金
 《4》現物出資と事後設立
 《5》現代化法成立後の会社のイメージ
第3 役員の選任手続
 《1》役員の構成
  ●譲渡制限のある会社
  ●譲渡制限のない会社
 《2》役員の資格
 《3》取締役の任期
 《4》役員の解任
 《5》取締役会の決議の方法
 《6》取締役の責任限定
 《7》株主代表訴訟
 《8》監査役
 《9》会計参与
 《10》会計監査人
 《11》結論
第4 株主総会のイメージ
 《1》議事運営
 《2》総会の招集場所
 《3》結論
第5 株式や増資についての変更は
 《1》譲渡制限
 《2》株式の消却
 《3》増資
 《4》新株発行不存在確認の訴え
 《5》種類株式
 《6》株券
 《7》結論
第6 新株予約権
第7 会社の計算
 《1》剰余金の分配
 《2》人的分割
 《3》配当制限
 《4》計算規則
 《5》結論
第8 定款変更の手続
第9 組織再編成
第10 解散
第11 結論として
第12 日本型LLP
 《1》既存の合弁会社
 《2》日本型LLP