他人の失敗から学ぶ税法
「他人の失敗から学ぶ税法」というタイトルですが、私自身もよく失敗していますので、自分の失敗から学ぶ税法でもあるわけです。皆さんの中には、判例雑誌を購読していても、税法の判決は読まないと決めている先生方がいると思います。「僕は税務訴訟なんてやらないよ」ということで、税法関係の判決は読まないと決めている方です。私も読まないと決めている判決があります。
例えば、船の衝突事件などの判決は読みません。でも、税務訴訟の判決はぜひ読んでみてください。というのは、税務訴訟というのは行政訴訟の判決ではなくて、民事事件の失敗事例なわけです。私は、税法を一応専門と自称していますけれども、税務訴訟になることを想定した税務処理をしたことはありません。税法に限らず、どのような処理でも、訴訟を前提にした処理をする弁護士は少ないと思います。事件にならないように気を配った処理をしたのだけれども、失敗してしまい、税務訴訟を起こさざるを得なくなるわけです。つまり、税務訴訟は、民事事件の失敗事例なのです。
では、どんな場合に失敗するのか。これには二つの原因があります。一つは知識不足で、もう一つは税法特有の考え方です。税法は、通常の法律の常識と異なる特有の考え方をします。さて、本日の話の進め方ですが、知識の方を2時間で習得していただくというのは無理な話です。しかし、税法の特有の考え方でしたら、2時間でマスターすることも出来ます。そのような次第で、本日は、他人の失敗事例から学ぶ税法の特有の考え方を皆さんにご説明させていただきたいと思っております。
どのように税法の失敗事例を取り上げるかということで、きょうは民法の編別といいますか、民法総則から最後には親族相続のところまでで、争われた事例を幾つか拾い上げてきました。税法の問題も時代によって変わります。バブル前の税法と、バブル中の税法と、バブルの終わった今の税法では、微妙に問題になる税法が変わっています。今日は、いま現在、問題になっている新しい事例を拾い上げてきたつもりです。
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