私法と税法の考え方


第1 税法知識の活用分野

 御紹介頂きました関根です。今日と明日は、税法の話をさせて頂きます。裁判官になりましても、検察官になりましても、税法の知識は必要です。行政訴訟や脱税事件だけでなく、カネが動けば必ず税金が関係するわけです。ただ、私が皆さんに、ここで話が出来るのは弁護士としての税法の知識です。

 そのため、知識の範囲と傾向が、少し偏っているかもしれません。でも、逆に言えば、弁護士になる人ではなく、検察官になる人、裁判官になる人は、税法を専門にしている弁護士はあのような発想をするのだというように聞いて頂ければと思います。

 まず、弁護士としての税法知識の活用分野です。

 「イ」として申告業務。これには、法人税、所得税、相続税、この頃は消費税もあります。このような業務には税法の知識が必要です。ただ、申告業務に税法の知識を使ってもらうためにここで税法の説明をしようとは思いません。申告業務でしたらパソコンの操作で答えが出ることになっています。それに税理士業務は、多くの職員さんを使って採算をとる仕事であって、弁護士が申告業務を行っていても割に合いません。

 「ロ」として税務訴訟。これは弁護士の専門分野です。弁護士は専門を持たなければいけないと言われていますが、これも専門分野の一つです。税法に関する訴訟では、それなりの専門用語が出てきますし、特異な発想が出てきます。ただ、これは今回は取り上げません。
  目  次
税法知識の活用
私法と税法の違い
売買
贈与
低額譲渡
無利息融資
借地権の設定