7回の商法の改正と税法
商法は最近の数年間で7回も改正されています。商法が改正になれば、当然、税法も改正されます。さらに、法制審議会の会社法部会からは、「会社法制の現代化に関する要綱試案」が発表されて、商法の会社法部分と有限会社法の抜本的な改正が2年後には成立する予定になっています。
現代化要綱試案では、商法第2編の会社法部分と、有限会社法、商法特例法等の各規定を一つの法典にまとめることにして、株式会社と有限会社の垣根を取り除き、最低資本金も300万円、あるいはゼロに引き下げ、取締役と監査役の関係などを大幅に自由化するなど多数の改正が予定されています。
では、商法は、現代化要綱試案に基づく改正が成立した2年後にまとめて勉強すればよいのかというと、それは違います。改正の経過を知らなければ、新しい条文の位置付けが出来ません。各々の条文には、その条文が制定された歴史的な位置付けがあるからです。したがって、過去7回の改正の経過を理解することは、今後に改正される商法を理解するためにも必要なことなのです。
そして、商法の改正に合わせて税法も改正されています。実務の処理で重要なのは、商法の改正ではなく、それに合わせた税法の改正であることは説明するまでもありません。商法としていかに有効な手段であっても、その処理を税法が認めない限りは誰も実行しません。
たとえば、商法上の会社分割は、税法上は適格分割と非適格分割に分かれますが、実務では、経営戦略的な目的がある場合を除き、非適格分割が行われることはありません。では、適格とは何か、非適格とは何か、それを理解する為には税法の思想を理解することが必要です。そして税法の思想を理解するためにも、商法と税法の改正の歴史を理解する必要があるのです。
|