税法が一番(その1)
マグナカルタも、フランス革命も、アメリカの独立戦争も、その原因の一つは国王の課税権の濫用です。つまり、西欧諸国の歴史では、民主主義の成立の歴史として税法が意識されているわけです。
しかし、日本では、民主主義の基本としても、歴史の変遷としても、税法は、全く、意識されていません。日本の歴史に登場する税法は年貢と五公五民、それに百姓一揆だけです。
でも、日本においても歴史を作ったのは税法です。
鎖国をした江戸幕府が、黒船四杯で鎖国を廃止したのは兎も角として、それと同時に大政奉還をする理由などは、歴史の教科書では説明されていません。
その理由は税法です。
年貢と、五公五民では、幕府の財政は維持できなくなっていたわけです。
なぜか。
江戸初期には、日本のGNPの10割近くが農業生産物でした。
しかし、江戸末期には、商業資本の発達で、たぶん、農業生産物は日本のGNPの5割程度になっていたと思います。つまり、税収は半減していたわけです。
明治政府は、直ちに、年貢制度を廃止し、地券を発行し、金納制度を採用しました。
しかし、土地を課税標準とすることに変わりはなく、国家財政を確保することは不可能でした。それが国民の不満を生み、大陸出兵などの経済拡大政策が必要になったわけです。
しかし、戦後、所得税を導入し、日本は高度成長経済を謳歌することができました。
なぜなら、所得税はインフレに課税する税制であり、インフレと経済成長で、日本政府は春を謳歌できたのです。
しかし、インフレ経済の終焉を予想した優秀な官僚がいました。
その人達が、消費税の導入を画策し、遂に、それを成し遂げました。
その成果として、バブル崩壊後の日本経済は生きながらえているのです。
いま、消費税が存在しなかったら、日本経済は破綻していたと思います。
国民の反対にもかかわらず、消費税を導入した官僚に感謝を贈りましょう。
以上のように、日本の歴史は、まさに、税法のみで作られているわけです。
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