税法が一番(その8)

 遺産分割のやり直しは可能です。
 遺留分減殺請求をすれば、その通知と同時に、遺産については共有関係が成立します。
 所有の意思のある20年間の占有期間の経過をもって、取得時効は完成します。

 最高裁は上記のような判断を示します。
 しかし、税法の理解は違います。

 遺産分割のやり直しは、遺産分割のやり直しという一つの新たな契約です。
 遺留分減殺請求をしても、その結論が確定しなければ更正の請求は行えません。
 20年間が経過しても、時効を援用しなければ、税務上の所得は認識されません。

 この理由を知るには、民法上の理屈を理解した上で、さらに、その法律関係の意味内容を分析する必要があります。なぜなら、民法上の法律関係は、要するに当事者間の問題にすぎず、当事者の権利関係が調整できれば全てokなのですが。

 しかし、税法上の理屈では、当事者の利害を超えて、その法律関係の意味内容を分析し、その法律関係に適合した課税を行う必要があります。そして、当事者の利害の調整を超えた法律関係の理屈の構築によって、さらに、民法上の理屈についての理解が深まるわけです。

 これは民法だけに限ったことではありません。

 税法を理解するためには、簿記を理解し、会計理論を理解し、経済の理屈を理解し、会社法を理解し、財政学を知る必要があります。その上に構築されるのが税法の理屈なのです。

 だから、税法は一番なのです。




税法が一番(その1)
税法が一番(その2)
税法が一番(その3)
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税法が一番(その8)
税法が一番(その9)