税法が一番(その5)
取締役の定員を3名とするのも、5名とするのも、法務省の役人が自由に決めることができます。そこに理論はありません。資本金は1円でも、10万円でも、1000万円でも、その決定に理論はありません。
消滅時効の期間を、1年にするのも、3年にするのも、法務省の役人の自由裁量です。そこに理論はありません。所有権という概念を認めれば、共有との概念が必要になり、保証という概念を認めれば、連帯保証という概念が登場します。そして、ここらは、既に、ナポレオンがフランス法典で決めていることであって、理論ではなく、歴史です。
しかし、自己株式の取得についての課税関係と、減資(資本剰余金の分配)についての課税関係、それに、利益剰余金の配当についての課税関係に整合性がなければ、納税者は、自己に有利な迂回処理を選択してしまうでしょう。
仮に、自己株式の取得についての課税関係と、利益剰余金の配当について整合性がなければ、会社は、全株主から10%の株式を買い取り、その後に9株の株式を10株に分割するというテクニックを採用することが出来てしまいます。
だから、税法は、決めれば良いという法律と異なり、全ての処理の整合性が要求されるのです。つまりは、調和の神であるハルモニアの世界です。
だから、理論の深さについては税法が一番なのです。
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