トイアンナ(女性) 扶桑社新書 2024/04/28 書き出し(P2)から刺激的な分析が始まる。 年収の低い男性は、多くの結婚相談所で登録を拒否される。 キモくて金のないおっさん(KKO)に分類される人たち。 男目線で考えても KKOの人たちは「自業自得」「自己責任」だと定義したくなる。 つまり、誰も、彼らに同情しない。 その人たちは、社会から隠れて生活する以外にない。 女性に興味を示せば「キモくて金のないおっさん」と定義される。 「なんだブスが」と言い返すことも出来ない。 いや、しかし、 それって、ちょっとした人生のズレ。 誰でもが、 金融機関に新卒採用で就職し、 営業で活躍してタワーマンションに住む。 そんな人生が歩けるわけではない。 敗者復活戦を許さない社会。 ちょっとしたズレでKKOになってしまう。 いや、私自身がKKOの予備軍だったからこそ強く思う。 いや、しかし、私は自分で人生を築いてきたからこそ、 キモくて金のないおっさん(KKO)になって木造アパートに住む自分を恐れる。 P156 40代も後半になったらわかりますよ。毎日同じ仕事をして、割引になった惣菜買って、安い焼酎を買って…って繰り返してみなさいよ。同級生は3人目の子どもが生まれて、家を買って、 小学校の卒業式の写真をアップしてるんですよ。 それを見ながら酒を飲んで、ソシャゲのログボ(定期的にゲームを起動することで得られる特典)だけ回収して、クソして寝る。このどこに幸せを見いだせって言うんですか。今さら趣味のサークルに顔を出したって、公園でただ日向ぼっこしてたって、下手すりゃちゃんと金払って居酒屋で飲んでても、俺みたいなのは不審者ですよ。 いいっすか、独身のおっさんに人権なんかないんです。そこにいるだけで怪しくて、やばいんですよ。だからこのインタビューを見てくれる人には言いたいですね。死ぬ気でスペック上げろ。女を抱け。そうしないと人生終わるって。 P2 P17 P25 P162 |
加藤新太郎(元裁判官) 岩波書店 2024/04/27 全くダメ。 文章を書くのが仕事だろうにと、不思議に思う。 多様な事件を扱って人生を見ただろうにと、不思議に思う 裁判官から弁護士になって、両面から事件を見ただろうにと、不思議に思う。 裁判官目線で事案を捉えているだけであって、 あくまでも裁判という手続の中での事象の説明。 いや、しかし、 それが裁判官としての職務の中心だろう。 どのような紛争、どのような主張、どのような証拠、どのような証言。 そして、どのような判断をしたか。 離婚事件の当事者の言い分、株価算定について意見が分かれる鑑定書、暴行事件について当事者の言い分の変遷、賃料の合意と消費税の負担。 それは「私の履歴書」に出世したサラリーマン氏が、どこの部署、どんな上司、どんな成果、どんな役職と書き連ね、最後には社長に任命され、業界の役職に付いて、どんな成果を上げたかを書くのと同じ。 彼らにとっては、 それが最重要事なのだろう。 いや、私には、その間に出会った多様な人たちの方が遙かに興味がある。 殺した人、殺された人、そこに登場する学ランの右翼、生まれながらの詐欺師、その詐欺師に騙された女性と、その父親。覚醒罪なんてやってしまった人、そいつらが刑務所で取り込まれるヤクザの世界。交通事故の死亡事件と、その加害者夫婦。 そして辿り着くのは「今、必要なのは手元の現金、カネを持つ親」「カネで済む話はカネで済ませる」という自称哲学。 私に興味があるのは紛争解決の思考方法でも、サラリーマンの出世の道筋でもなく、自分自身が生きる意味、私の周りの人たちの人生、そして平穏な生活。 ちなみに、本書に登場する消費税事例が次(62頁)ですが、 裁判官に判断させると「消費税は別途加算」の意味が違ってくる。 P62 消費税率上昇時の差額の負担 建物賃貸借契約の解消時に、消費税の未払い分の有無が争点となったケースがある。 賃貸借期間が消費税率がアップした平成9年4月をまたいでいたため、問題となったのだ。条項は、「消費税は別途加算」とされていた。 この条項からは消費税を賃料に含めないという趣旨を読み取ることができるが、消費税率の変更(税率の上昇)があった場合に、賃貸人と賃借人とがどのように負担することになるかは、一義的に読み取ることはできない。 論理的には、@賃借人が負担する、A賃貸人が負担する、B両者が分担するという三つの類型が想定されるが、文言上は、いずれであるかは不明である。 賃貸人は、この条項は消費税率が上昇する場合には差額分の増額を請求する意思が表示されたものだと主張した。これに対して、賃借人は、この条項は消費税を賃料に含めないという意味しかもたず、消費税率の変更に対応して自動的に賃料改定がされる趣旨ではないと反論した。 これだけでは、水掛け論の域を出ない。そこで、裁判官としては、関連する事実に目を移した。そうすると、本件では、消費税率が上昇した平成9年4月ころに、賃貸人が賃借人に、消費税差額分を増額する旨の意思表示をした事実はない。さらに、それ以降、一度も消費税差額分を請求することも交渉することもしていない。これは、賃貸人の主張の正当性を大きく減殺する事実である。 そこで、裁判官は、「消費税は別途加算」という文言からは消費税率の上昇があった場合の取扱いについて一義的に読み取ることはできないが、賃貸人が賃借人に対し、消費税差額分を増額する旨の意思表示をしたことがなく、消費税差額分を請求したこともないことを勘案すると、この賃貸借契約は、消費税率の変更に対応して自動的に賃料改定がされるものではないと解釈した。そのように解釈することが当事者の意思に合致するとみたのである。 |
ジェイミー・フィオーレ・ヒギンズ 光文社 2024/04/27 10年ぶりの本を読む楽しみを思い出した。 夢中で読み進めて、明日には350頁を読み終えてしまうと思う。 ゴールマンサックスが凄い、上司が凄い、何よりも筆者が凄い。 ゴールドマンサックスは日本の電通なのだ。 「電通マンぼろぼろ日記」と同じ言葉が登場し、 稼ぎ方も、働き方も電通に似ている。 P35 職場には選ばれし人々”がいる。コネや家柄で雇われた人たちだ。プライベートジェットでナンタケット島【訳注: マサチューセッツ州の南にあるリゾート地】に行くために、毎週金曜日には早めに退社していく女性や、毎朝、二日酔いで遅れてくる男性などがいる。彼らは身を粉にして働く私たちとは違うルールで生きている。ミシェルとソフィアは、この"選ばれし人々≠セ。私が採用通知をもらうまで35回も面接を受けたと話したら、きっとふたりは卒倒することだろう。彼女たちはたったの数回しか面接を受けていないらしい。ミシェルの父親はゴールドマンの顧客だし、ソフィアの父親はゴールドマンのパートナー(共同経営者)のゴルフ仲間だそうだ。ふたりとも、ゴールドマンに就職するのは簡単だと思っていたという。 P67 顧客の中にはゴールドマンとの取引実績はあったものの、私が担当するまで株を貸すビジネスについては詳しく知らない顧客も多かった。 ゴールドマンにトレーディングを任せてはいたが、株式を貸すビジネスはしたことがないらしかった。そこで、簡単なプレゼンテーションをして仕組みを説明した。 彼らはすでに株を保有しているので、この取引にかかるリスクは低い。私たちがその株を借りてヘッジファンドに貸すだけのことだ。そして彼らのもとには手数料が入る。現物株の値 上がりや配当金で得る利益よりも、ずっと多くの利益が得られる。つまりウィンウィンの取引だ。彼らがすることは何もなく、私に株を貸してくれるだけで収入が得られる。結局、多くの顧客と株を借りる契約を結ぶことができた。 |
南野苑生 フォレスト出版 2024/04/26 次はホームレス。 そのような状況になって就く仕事。 いや、定年退職したサラリーマンの暇つぶしの仕事かも。 それにしてもメンタル的には気楽な仕事とは言えない。 いや、マンションに住む側も面倒な集合住宅だと思う。 著者の前職は、 広告プランニング会社の経営だそうですが、 もう少し、上手に、自分の仕事内容をプレゼンできないのかと。 P3 ずばり言おう。賃金が安いからである。 大阪の分譲マンションに夫婦住み込みで勤務する私の現在の給料は手当てを含めて月17万円。そこから所得税や健康保険、雇用保険、住民税などが天引きされ、実質手取りは15万円程度といったところである。「副管理員」という立場の家内のほうは月にもよるが平均で6万円強。手取りだと夫婦合わせて21万円ほどの額なのである。 P6 定年を迎え、もうひと頑張りしてみたい、あるいは私のように事業に失敗し、どこへも行くところがない、そういった人にも頑張れる世界がある。それがマンション管理員の仕事でもある。 P22 当の保険屋さんにしても、自分の腹が痛むわけではなし、せっかくの大口が解約されてもつまらないから、見積書どおりの請求額を負担しようということになったのだろう。 P29 一般的にいって、掲示板や壁エレベーターなどに警告文を書いた貼り紙の多いマンションは管理が行き届いていない。しかも、その警告文が何年にもわたって掲示してあるマンションほど性質が悪い。 P70 一方、私の仕事は好転しないばかりか、完全にストップした。わが家から会社への持ち出しは2600万円以上に膨らみ、もうこれ以上は出せないと家内がブチ切れる始末。 会社は、文字どおりの開店休業状態。カタチばかりの容れ物になっていた。 塾の仕事もなくなり、お歳暮時期の荷扱い要員を募集していた郵便局に早朝勤務した。 会社は完全に休眠会社となった。解散させるには金もかかるし、手間暇もかかる。いろいろと面倒だったから、放置することにしたのだ。 そんな私を見て家内が言った。 「2人で住み込みの管理員をしようか」 それが、今から13年前の春のことである。 |
柏 耕一 フォレスト出版 2024/04/25 我が家の近場が工事中で、 交通誘導員が3人ほど出ている。 どんな背景のある方なのか、もと、土木員なのか。 そんな興味で読んでみましたが、全くの異分野から流れ込んできた人たち。 いや、その職業を否定する分けではないのですが、 この著者はダメ。 偏屈な批判(愚痴)が多すぎる。 この種の出版物で書くべきは、 驚き、笑い、皮肉、実感、そして「人間」ですが、それが書かれてない。 出版社勤務で、編集プロダクションを設立、ワケあって数年前から某警備会社に勤務。 そんな経歴ですが、この筆力では執筆業は再開できない。 P3 これだけ多い交通誘導警備員だが、その実態は世間によく知られていない。まして実体験者のレポートは皆無に近い。訳あって私はこの仕事を出版編集・ライターの傍らおよそ断続的に2年半ほど従事してきた。 P4 「最底辺の職業」と警備員が自嘲する現場では、高齢者を中心とする興味深い世界がある。私も今年(2019年)の5月で73歳になった高齢者だ。この世界は元金持ちも有名映画監督もいれば、この仕事がなければホームレスかと思わせる人もいる。親切な人もいれば意地悪な人もいる。 P39 「あのですね、ご主人。私たちいくら日当をもらっているかわかりますか。どこの警備会社であれ日勤1日9000円前後のはずですよ。休日や雨で中止の日もあれば、年度がわりで仕事の少ない月もあります。そうすると常識的に考えて勤勉な人でも平均すると月18万ほどの月収と考えて間違いないでしょう。転職して今の月給の半分で満足できますか」 |
藤木和子(弁護士) 中央法規 2024/04/10 聴覚障害の弟との「きょうだい」としてのジレンマを語る書。 「弟をお願いね」と言われ、 親の職業である弁護士を継ぐ、 結婚できるのだろうかと悩む。 その実感からタイトルの書籍を執筆したのですから、 まさに、実感がこもった一冊です。 ただ、 私の一読した印象では 救いがないのが家族の障害。 それを背負いながら生きる。 それが自分自身を育てるという前書き部分。 前書き きょうだいの世間的なイメージは、障害のある人と一緒に育ったから「障害に理解がある」「やさしい」などがありがちですが、私が出会ってきたきょうだいに一番感じているのは「人間としての深さ」です。一人ひとり環境も考え方も違い、本当にさまざまですが、誰もが、自分の経験をもとに、自分の人生や家族のこと、障害や社会について深い考えをもっていました。家族が好きだから自分にできることをしたいという人も、複雑な葛藤を抱えている人、家族から距離を取ることで自分を守りバランスを取ろうとする人もいます。突き詰めて考えようとする人も、あまり悩みすぎずにあっけらかんとユーモアで受け流そうとする人もいます。内容は重いですが、私はきょうだいで語り合える時間はいつも楽しく、好きです。 |
今井むつみ 秋田喜美 中公新書 2024/03/25 言葉なんて当たり前の存在、 言葉があるから人間は思想を持ち、進化することが出来た。 頭の中を駆け巡る思想も、言語化することで論理を構築している。 いや、しかし、その理解が危うくなってきました。 意識も、意思も持たないChatGPTが完璧な言葉を作り出す。 その言葉に反論すれば、感情がこもっているのかと思える反撃をしてくる。 言葉に意思や、意識が必要なのだろうか。 いや、逆に、言葉が、意識であり、意思なのではないか。 だから、ChatGPTが、言葉を作り出せば、そこに意識が存在する。 そんなことを考えていたときに出会った良書。 しかし、良すぎる本成るが故に飛ばし読みできず、 読書に時間を要すること、3日はかかりそうな気がします。 前書きP3 この問題を最初に提唱した認知科学者スティーブン・ハルナッドは、この状態を「記号から記号へのメリーゴーランド」と言った。記号を別の記号で表現するだけでは、いつまで経ってもことばの対象についての理解は得られない。 ことばの意味を本当に理解するためには、まるごとの対象について身体的な経験を持たなければならない。ロボットならカメラを搭載することができる。カメラから視覚イメージを得ることはできる。しかし私たちが対象について知っているのは、視覚イメージだけではない。触覚も、食べ物なら味覚も、対象のふるまい方や行動パターンも知っている。このような身体に根差した(接地した)経験がないとき、人工知能は○○を「知っている」と言えるのだろうか? |
奥原利樹 discover 2024/03/21 現在はチェアー12台、 歯科医師10名を含む 総スタッフ50名の医療法人を経営。 経営者としても優れた歯科医の一冊です。 歯科医の楽しさは、私には読み取れませんでしたが、 医学部、歯学部を文系に置けという主張は同感です。 医学部を文系に置き、 法学部を理系に置く、 これは私のかねてからの持論ですが、 それを歯科医の言葉として聞いたのは初めてです。 歯学部での「勉強」は記憶することばかり 英単語など、記憶が不得手な私には、 恐怖の歯学部です。 その代わりに、 法学部を理系に置くべきと思います。 理屈の整合性を学ぶのが法律で、 理解すれば良いのであって、記憶すべき事項はゼロ。 それは理系脳なのだと思います。 私は、税理士試験、司法試験を受験して正解だった。 この2つの試験は理系の試験 理解すれば記憶する必要はない。 もし、税理士試験や、 司法試験が記憶の学問だとしたら、 般若経を暗記するほどに難しい試験になってしまう。 81ページ 理系脳より文系脳が将来出世する 「暗記」が苦手な理系脳 医療系の学部は入試の際に理系の枠に入っていますが、私は文系に入れてもいいのではないかと思うことがあります。 実際、私も入試では化学と物理が必修科目でしたから、勉強して受験しましたが、一般教養が終わって専門に入ってからは、そうした理系科目の知識をほとんど使った記憶がありません。 「理系脳」が得意とする数学や物理というのは、いわば「理論の世界」。「なぜ? どうして?」を考え、法則から答えを導き出す抽象的なワールドです。 ところが、実際に歯学部に入ると、試験はほぼ「覚えること」オンリーです。筋肉の名前やら神経の名前やら、片っ端からまずは丸暗記することから始まります。 歯学部での「勉強」は記憶することばかりで、考えることはほとんどありませんでした。これは理系脳の人が最も苦手とする分野かもしれません。 理系脳の人というのは、丸暗記する科目の勉強がイヤだから理系を選んでいる人が多いわけです(笑)。同級生に聞いても皆、「記憶(暗記)することにものすごく苦労した」といっていました。 |
藤本 茂 ダイヤモンド社 2024/03/19 こういうタイトルの広告を見ると買いたくなってしまう。 そういう人たちは多いと思います。 株式投資って、 損をする人たちだけではなく、 利益を出す人も存在するのだと。 働くことが苦痛な人たち、 食うため、生きるために働いている人たち。 その奴隷労働から解放してくれる株式投資。 いや、しかし、中身は読む気になれません。 この種の手法で成功した方の話しであって おそらく、再現は不可能な成功体験です。 参考になったのは前書きの一文。 私なら、10億円の資金が2億円になったら、 メンタル的に破綻してしまうと思う。 しかし、 2億円を稼がせてくれた株式投資に再挑戦する。 それが株式投資のメンタルで、それを持つ者が成功し、失敗する。 いや、皆さん、 この本に倣って、 株式投資をやってみて。 前書き バブル崩壊では 10億円あった資産を 2億円まで減らしてしまった。 しかし資産が10億円まで増えて、 減ったとはいえ2億円も残ったのだから、 バブルには感謝だ。 87歳になったいま、 資産は18億円まで増え、 月6億円を売買しながら、 現役デイトレーダーとして 日々相場に挑んでいる。 |
弁護士法人マイタウン法律事務所 講談社 2024/03/08 2014/12/12の古い出版ですが、 凄い本を出版する弁護士がいる。 なぜ、凄い書籍と認識したのか。 amazonの星5つの意見は当てにならないが、 amazonの星1つの意見は書籍の選択に役立つ ――――――――――― 5つ星のうち1.0 不道徳な弁護士に離婚を依頼しても幸せにならない 人間として公正な判断な下離婚を進めるならまだしも、カネ、カネ、カネ、だけの弁護士さんでした。「人間として恥ずかしくありませんか」とコメントして事務所を後にしました。 ――――――――――― いや、しかし、本書には、 当たり前のことしか書いてない。 いや、 当たり前以下のことしか書いてない。 平成26年の出版なのに、 平成19年に導入の年金分割に触れてない。 私の読み落としだろうか。 ――――――――――― 平成19年4月1日以降に離婚をした夫婦が 合意また裁判所の決定により年金を分割する 分割対象は、厚生年金いわゆる2階建て部分 P143 ところが残念ながら、いまの裁判における財産分与の現状では、こんな妻の場合でも半分は持って行かれてしまいます。「いまの」といいましたが、以前は、専業主婦の場合は3割程度のことが多かったのです。 財産分与の本来の考え方は、“貢献度に応じた分配”ということです。民法には、「裁判所は財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうかや、分与の額を決める」とあります。つまり本来の考え方からすれば、ろくに家事をしない“自称”専業主婦に、分与の権利はないことは明らかです。ところが実際は、このような場合でも、裁判所が半分の権利を認めてしまうというのが現状です。 P186 ただし、夫側の面会交流に対して裁判所側が冷淡な姿勢をとることがあるのにも理由があります。なかには、本当に子どもに会いたいのではなく交渉材料として会うケース、母親(妻)に会う口実として利用するケース、嫌がらせとして面会交流を要求しているケースなどもあるからです。 そのように思われないためには、あなたも「子どもとの面会が実現できるなら多少の面倒や苦労はいとわない」という姿勢を示す必要があります。「子どもを交渉材料にしているのではなく、心から子どもに会いたい、一緒に過ごしたいと望んでいるからこそ面会交流を希望している」ということを積極的に訴えていくことが大切です。 |
福永耕太郎 フォレスト出版 2024/03/04 典型的な高所得サラリーマン。 電通の社員が営業の人生を語ります。 どうやって入社したか(P65)。 大部分の人たちはスポンサー企業の子弟(コネ)です。 どれほどの給料を貰うのか(P87)。 高給に加えて月の100時間の残業です。 どのように稼ぐのか(P105)。 Jリーグの選手のユニホームのロゴを入れるアイデアを売り込む。 1年4億5000万円の3年契約の売上です。 どうやってサラリーマン生活を終えるのか(P193)。 このころ電通ではリストラが強行されていた。 仕事に注ぎ込んだ人生と家庭生活の調和はあるのか(P195)。 電通を退社して数日後には妻に離婚届を突きつけられるのです。 P65 「でも、俺さ、本当になんのコネもなかったんだぜ。それでも内定もらったんだ」 私がそう言うと、一瞬にして、その場の雰囲気が凍りついた。 そのテーブル席についていた学生たちの、私以外のほとんどが何かしらのコネを持って内定を得ていたと知ったのは、入社してからだった。 コンピュータメーカー会長の甥っ子、有名百貨店の広告担当役員の息子、新聞社の役員の息子、テレビ局の有名プロデューサーの息子、大手出版社の有名雑誌編集長の息子、衆議院議員の息子……じつに多彩なコネだった。 P87 P105 P119 P193 P195 |
河合香織 文藝春秋 2024/02/22 多様な学説を紹介し、 多様な生物を紹介し、 多様な挑戦を紹介する老化に関する一冊。 気になった箇所を拾い出せば次の3頁。 200頁の書籍が3頁分で紹介できるとは思えませんので、 ほんとのさわりの紹介です。 長寿に関する大量の知識が書き込まれた一冊。 P113 日本におけるセンチナリアンの人数は、統計を取り始めた1963年の時点では153人しかいなかった。だが、その数は飛躍的に伸びており、1981年には1000人、1998年には1万人を超え、現在は9万人を超えている。 P115 糖尿病も血管の疾患です。糖によって血管がぼろぼろになって固まるわけですから。つまり、老化のプロセスでは血管がまず老いていくので、血管と認知機能の双方が若い状態であれば健康長寿でいられます。一説には、皮膚の再生能力が高い人は、長寿の傾向があるとも言われています。 P168 たとえばその一つとして、澤田部長が研究代表を務め、2023年に発表された排便習慣と認知症の関連性についての研究がある。約4万2000人を対象としたこのコホート研究によって、1日1回排便する人に比べて、週に3回未満の人は、男性の場合で認知症のリスクが約1.8倍、女性の場合は約1.3倍になったことが明らかになった。 また、便の硬さについても「とくに硬い」と回答した人は男性で約2.2倍、女性で約1.8倍、認知症のリスクが上がることがわかった。 |
Newsweek 2024年2月20日 2024/02/19 コロナワクチンの真実として、 専門家が、 ワクチンの効果と副反応を語ります。 次のワクチン接種に不安になったときの資料として保存しておこう。 コロナに感染するよりも、ワクチンの方が、はるかに危険性は少ない。 P20 次に臨床試験での有効性だが、20年11月に公表されたファイザー製ワクチンの臨床試験データの最終分析結果には世界が驚いた。発症予防の有効性が95%というのだ。 P20 P25 |
山崎 元 Gakken 2024/02/19 経済評論家の本でも、 Amazon 売れ筋ランキング 3位本 これでは読まない分けにはいかないだろう。 そこでamazon、到着待ち。 今朝10分前にポストから取り出して、今、読み終わりました。つまり、内容は10分。 著者の主張は次の3行 P180 ――――――――――― お金の稼ぎ方では「株式」に上手く関わることがコツになる。 起業でも、ベンチャーへの参加でも、ストックオプションをくれる会社への転職でもいい。 私の時代は、出世したり専門家になったりして「労働時間を確実に高く売る」のが無難な道だったが、時代は変わった。 株式性の報酬が有利た。 ――――――――――― これって著者が実現した人生なのでしょうか。 あるいは実現できなかった人生を語っているのでしょうか。 「日本の会社員はなぜ『やる気』を失ったのか」と、共に。サラリーマンとして汗して働くことを否定している。 一方は、だから株式投資だと主張し、他方は、サラリーマンなんて人生の地獄だと主張している。 昭和の働き方と、 現在の働き方は変わってしまった。 それは確かですが、しかし、私の子供たちは「働く」を選択している。 たぶん、「株式」を選択するよりも健全な生活を築くと思う。 いや、そもそも必要なのはカネを持つ親。 そしてカネを持つ親に成れたのは株式投資をしなかったから。 株式投資で儲けた人たちは、私の周りには大量に存在するが、しかし、株式投資で財を成した方を見かけない。 P3 P180 P182 |
渋谷和宏 平凡社新書 2024/02/16 1990年代半ば以降、市場や技術動向の激変に対応できず、競争力を失った日本企業。その凋落の一因に、会社員の「やる気」の無さがあるのは間違いない。米ギャラップ社が世界各国の企業を対象に実施した調査によると、日本企業の「熱意あふれる社員」の割合はたったの6%であった。これは調査した139カ国中132位で最下位クラスである。 このような解説があったら読まなければ成らない。 なぜ、日本の企業は力を失ったのか、 サラリーマンという人生は楽しいのか。 その2点は私の最大の関心事です。 そこでamazon、到着待ち。 一気に読んでしまいました。 全ての頁に書かれていることが納得の分析です。 人件費をコストとして扱い、 コストダウンのために派遣社員を使う。 成果主義賃金の目的は賃金の切り下げ。 30年間について、ほとんど上がってない給料と、 商品開発力を失い、中国とコストを争う日本メーカー。 なぜ、日本の製造業が力を失ったのか。 アナログからデジタルへの乗り換えに失敗したのです。 そして低価格で中国と競った。 そして賃金は上がらず、 やる気の無い社員の割合が70%で、 熱意あふれる社員の割合は6%しかいない。 サラリーマンは、 多様な福利制度のある良い仕事ではなく、 嫌な仕事、厳しい仕事、辞めたい仕事。 女性も働く時代と主張しますが、 産休中、育休中の給料負担はゼロなのだから、 会社にしてみたら、まさに、無責任な制度。 私の認識と一致します。 サラリーマンなどが楽しいはずが無い。 P16 P36 P42 P44 P46 P54 P62 P71 P78 P83 P86 P102 P142 P144 P153 |
箕輪厚介 幻冬舎 2024/02/14 一時代前に「死ぬこと以外はかすり傷」という本を書いた編集者がいた。 それを読まなかったので、その著者が「その後」を書いた本書を読んでみた。 いや、全く無価値、無内容。 いや、無価値、無内容の人間が編集者として騒いで、その時代にマッチした。 バブルの頃、経営能力も無く、ただ、勢いでバブルに乗った人達。 あの人たちと同じように時代に乗っただけの著者。 なんか、その後を反省してますが、 その反省の内容も、よく分からない。 マスコミの登場する人達には、 この種の人達が多いのだと思う。 10頁を読み進めるのが苦痛の一冊。 |
戸谷洋志 新潮新書 2024/02/0x 親ガチャという言葉は時代を捉えている。 私は、「カネのある親」と、親ガチャという言葉以前から語っていた。 ――――――――――― 続々・税理士のための百箇条 人生を始めるに際しての資金力の差が、その後の何倍かの生活格差を作り出してしまう。 努力では超えられない格差の存在だ。そのような時代に価値を持つのがカネを持つ親だ。スタート時の格差は親の資力によって生じてしまう。 子ども達のために頑張ろうではないか。自己責任などというのは力の無い親の言い訳でしかない。 ――――――――――― ネットでは次のように著書が紹介される。 本書によれば、二つの人生観には責任をめぐる見過ごせない問題がある。親ガチャ的な捉え方は自分の人生に対する「責任の放棄」に、努力次第とみなす考え方は「過度な自己責任論」に行き着くからだ。本書は誰しも生まれてくる環境を選べない「出生の偶然性」を認めながら、極端な自己責任論に陥ることなく、どうすれば自分の人生に責任を負えるかを問う。 勿論、二者択一ではないことは当然。 しかし、親ガチャの割合が増えている。 その認識と、対策が必要なのだと思う。 ┏━━┳━━━━━━━━┓ ┃ ┃ 自分の努力 ┃ ┃ ┗━┓ ┃昭和の時代 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗━┓ ┃平成の時代 ┃ ┃ ┃ ┃ ┗━┓ ┃令和の時代 ┃ カネを持つ親 ┃ ┃ ┗━━━━━━━━┻━━┛ さて、本書は、親ガチャの時代をどのように定義するのか。 読み終わりました。 私の評価は星一つ。 親ガチャという否定的な視点に対して、 自己肯定感という肯定的な視点を確立する(P217)。 そして、自己肯定感を自主的な行動力と定義する(P218)。 途中省略型の読書ですから、 著者の主張を読み取れてないかもしれませんが、 しかし、現実に生じている格差は大きく、永久的です。 アパートの一室で人生を終える人に、自己肯定感を持てとアドバイスする。 そんなことより必要なのは、誰でもが家庭を持てて、だれでもマイホームが取得できた昭和の経済です。 必要なのは、そのための経済政策。 今、親ガチャと言われる時代が出現したのは 日本のシステムの硬直化に原因があると思う。 私の仲間は、商業高校卒、 日商簿記1級、税理士試験と、親ガチャをはね除けてきた。 必要なのは、そのような敗者復活戦のチャンスを全員に与えること。 何歳からでも、何時からでも再スタートできる社会が必要なのだと。 さらに必要なのは、 子に親ガチャの悲劇を味合わせないために 自分自身がカネを持つ親になる努力。 その努力の原動力にすべきが、 自分自身が味わった親ガチャの環境。 必要なのは親ガチャをエネルギーに変える努力です。 いや、しかし、 私が身近にする税理士業界でも、 いま世襲化した2代目の業界。 司法試験という挑戦の場は 新司法試験で失われてしまった。 全ての結論はシンプルです。 今、必要なのはカネを持つ親。 親ガチャの時代。 P217 そのような意味で肯定という言葉を理解するなら、そのとき、自己肯定感とは、「私が私である」という感覚である、と考えることができます。 「私」が「私」であって、それ以外の何者でもなく、それを引き受けざるをえない。そうした事態を受け入れられる感覚が、自己肯定感です。そうした感覚を抱くのに、他者との優劣を比較する必要はありません。 それは、自分が優れているという感覚を指すものではないからです。 したがって、たとえ何らかの点で自分が劣っていても、その自分に自己肯定感を抱くことは可能です。 P218 たとえば道で困っている人がいるとき、声をかけるか否かを迷っている人がいます。声をかけるべきだと思いながらも、そんなことをしたら恥ずかしい、という思いも生じます。そのように逡巡したとき、声をかけることを選択できる人は、自己肯定感が高い人でしょう。自分こそがその人に声をかけるべきだ、自分にはその責任があるのだ、ということを、受け入れられるからです。 |
鈴木おさむ 幻冬舎 2024/02/09 仕事の辞め方には3つの種類がある。 辞めさせられるサラリーマン型と、 自分から辞める事業主型。 事業主型には 自分で終わりを決める辞め方と ダメになって辞める辞め方がある。 著者は自分で終わりを決める辞め方を選択する。 そのような決断には、どのような覚悟が必要なのか。 サラリーマンと共同作業をしてきた著者。 サラリーマンの生き方も同時に語る。 読み進めるのが楽しみな一冊(まだ読み始めて26頁) 放送作家の一冊ですから、 それなりに拾えるキーワードはありましたが、 なぜ、辞めるのか、それが分からない。 おそらく、 著者の優秀さを 私が読み取れないのだろ思う。 |
角田光代 中央公論 2024/01/29 私は、ずーと、 小説を読んでから、映画を見たのだと思い込んでいた。 ここで結末が知りたくなって小説を再読してみたら、 私は、この小説を読んでないことに気付いた。 おそらく、娘が小説を読み、私にストーリーを聞かせたのだと思う。 私の記憶は、この小説のような話しの順番ではなかった。 それにしても 映画の方が遙かに良い。 それは永作博美という名優の、 押さえた名演技の成果だと思う。 なぜ、永作博美に、 あのような力があるのかと、 その他の映画を見たときも思う。 知りたかった結末は、 主人公の2人が、 小豆島に向かうヘリー乗り場で再会したのか否か。 再開したとしたら安直だし、すれ違いだとしたら悲劇だ。 それと八日目の蝉の意味を知りたかった。 P343 「前に、死ねなかった蝉の話をしたの、あんた覚えてる?七日で死ぬよりも、八日目に生き残った蝉のほうがかなしいって、あんたは言ったよね。私もずつとそう思ってたけど」千草は静かに言葉をつなぐ。「それは違うかもね。八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ」 秋に千草と見上げた公園の木を思いだした。闇にすっと立っていた木に、息をひそめる蝉をさがしたことを思いだした。あの女、野々宮希和子も、今この瞬間どこかで、八日目の先を生きているんだと唐突に思う。私や、父や母が、懸命にそうしているように。 |
さだまさし 岩波現代文庫 2024/01/27 さだまさしが作り出す言葉、それに曲。 見事だと思いますが、それがどこから出てくるのか。 それを知りたくて手に取った一冊ですが、 そのことは書いてなかった。 ただ、人生と、歌と、ボランティアなどの多様な向き合い方が語られ、歌手ということ以上に素晴らしい人間なのだと再確認した。 才能なのですが、 その才能を超えた実績。 見習うこともできない遠い存在です。 135P 「だがね」と先生は言った。 「君が歌を続けていって、やがて万が一、昔自分が作った作品に心惹かれて「あのような歌を作ろうか」と、ちらりとでも思ったときには、潔く「うたづくり」をやめなさい」と。「何故ですか」と尋ねると先生は真顔でこう答えた。 「かつての自分の作品をなぞることは「自己模倣」と言って芸術の末路であり、行き止まりだ。 それは君の芸術の死だよ」 毎年新しいアルバムづくりをする度に山本健吉先生のその言葉を胸に刻み直す。そして先生は今も僕の心に生きて、何かに迷っても、質問さえすればきちんと答えて下さる。たとえば角川書店刊の先生の歳時記を継けば「夜寒秋桜は花冷えだよ」などと今でも優しく語りかけて貰えるのだ。だからメロディに詞を乗せるとき、僕はいつも山本健吉先生と一献傾けているような気持ちになるのだ。 まだ「うたづくり」はやめない。 |
野口悠紀雄 日本経済新聞社 2024/01/27 生成AI、ChatGPTの影響を予想します。 企業、医療、教育。そしてtransformer、深層学習、教師なし学習など生成AIの理屈を探求します。 多様な業界に与える影響を述べる箇所は、現時点の当たり前の予想内容です。 生成AIの理屈はChatGPTに聞けと述べます。この点は私も同意見です。 ChatGPTは、より適切な質問には、より深い回答を示し、その回答を、さらに深掘りすることが可能です。 まさに、ChatGPTのことはChatGPTに聞け。 これは私も実践しているところです。 高齢者(83歳)の学者が、ChatGPTを論じる。 それは凄いことだと思います ただ、なぜ、生成AIが言葉を作り出すのか。 その根源的なところは分析してないように思います。 そこは理系と文系の会話が通じないところです。 ただ、それは私の読みの浅さかも知れません。 6頁 こうした問題があるにもかかわらず、日本企業は、生成AIの影響を、文書処理の効率化程度としか捉えていない場合が多いように見受けられる。また、政策担当者が適切な問題意識を持っているのかどうかも、大いに疑問だ。考えれば考えるほど、日本の将来に危機感を覚える。本書の目的は、こうした事態に対して警告を発することだ。 |
藤田和恵 くんぶる 2024/01/19 「はじめに」を読んだだけで、 どうしようもない日本の労働格差の現実に出会う一冊。 この一冊を最後まで読んだら、 現実に絶望して暗くなるか、 自分の優越的な地位に後ろめたさを感じて暗くなるか。 なぜ、社会は、この現実を放置しているのだろう。 P4にある「トリクルダウン」という妄想。 それがあり得ないと著者は語りますが、 しかし、この頃の日本経済は企業自体が富める者から脱落しつつある。 裾野の低賃金で稼ぐビジネスモデルで利益を計上するのが企業という存在。 P3 北海道新聞社を退社する直前の2000年代なかばのころ。郵政民営化に揺れる郵政職場を取材する機会があった。最初は民営化に伴って過重労働やノルマ営業の負担が重くなっていく「本務者」に話を聞いた、当時は正社員のことを本務者と呼んでいた。次いで主な取材先が非正規社員である「ゆうめいと」へと移っていく。彼らは本務者と同じ仕事をこなしながら、年収は半分以下、あるいは3分の1程度だった。 続いて私が関心を持ったのは、郵便局からの委託を受けて荷物の配送や集荷する個人事業主たち。彼らの労働環境は本務者やゆうめいと以上に劣悪だった。今でいうところのワーキングプア状態の人たちが大勢いたのだ。 P4 私は、富める者が先に豊かになれば、その後貧しい者にも自然に富がこぼれ落ちていくという「トリクルダウン」という考え方を、”2万%”あり得ないと思っている。これは、長年、労働や貧困問題を取材してきたことによってたどり着いた確信だ。 P12 責任は経済界だけにあるわけではない。当時は一部のメディアも日経連の報告書について、「働き方を自分で選べる」「個々人のニーズに合った雇用で余暇や趣味を楽しめる」など、あたかもバラ色の働き方が待っているかのような報道にはしった。また、連合や全労連といったナショナルセンター(労働組合の全国中央組織)も「正社員の雇用を守る」という従来の方針にこだわるあまり、増え続ける非正規雇用労働者には長らく冷淡だった。 そして現在。 総務省の労働力調査によると、2020年における雇用者全体に占める非正規労働者の割合は37.2%となった。いまや雇用者の5人に2人が、パートやアルバイト、契約社員、派遣社員など契約期間に定めのある非正規労働者として働いていることになる。「新時代の『日本的経営』」が公表された当時、非正規労働者の割合は約20%だった。この四半世紀、非正規労働者は異常なスピードで増加の一途をたどってきた。 |
多井 学 フォレスト出版 2024/01/16 良いところも、悪いところも、気になるところも存在せず 紹介すべきところが一点も無い空気より中身の無い本。 本人は、意味のあることを語っているのだと思う。 |
志賀 櫻 エスピー新書 2024/01/16 典型的な上から目線本。 現場を知らず、教科書から始まる学者、 税務訴訟から入った弁護士の勘違い本。 「税法を取り扱う者は法律家でなければならない(63頁)」など、 いや、しかし、そこに関根弁護士の主張を引用するのだから論理矛盾(41頁)。 P18 結論を最初に言うが、最近の国税の調査は、法に従わない無茶な課税が多い。 その結果として、善良かつ誠実な納税者の納税意欲を削いでしまっている。 財政状況が悪化しているし、公務員に対する風当たりも強く、調査官の不満が溜まっているということも分からないではない。 しかしながら、納税者が税金を支払うことに納得感を持てず、そのことが、調査担当者の「増差所得を大きく稼げれば昇進できる」「さっさと修正に応じてくれそうなところで件数稼こう」という態度に原因があるのだとすれば、日本の徴税システムを破壊しているのは国税職員だということになるのだから、重大である。 この問題の根っこには国税庁の職員教育、特に新人研修の問題がある。 即ち、研修に際して、法規範を特定し、事実を証拠に基づいて認定し、事実を法規範にあてはめるという法律学の基礎(法的三段論法)を教えていないことが根幹にある。そもそも税務大学校では租税法を教えておらず、証拠に基づく証拠の認定の方法も教えていない。 P27 民間採用の審判官が増えていることには色々と評価はあろうが、全体として見ればいい方向に進んでいる。できが悪いので就職先がなく仕方なく審判官に応募しているような弁護士もいなくはないし、税理士には審判官になれば箔が付くと思って応募している向きも見かけるが、これは不心得であろう。弁護士、会計士、税理士は、特に、証拠の正しい評価による事実の正確な認定とそれに対する法の適用による結論の導き出しという法律学の基礎となる方法論の手順を良く理解して、国税職員の啓蒙に当たらなければならない。 今の国税行政は、法治国家のそれとは到底言えない。国税庁は、考え方を根本的に改めて、職員の教育と研修に総力を挙げて取り組むべきである。 P41 近時は、国税審判官の半数が民間からの採用とすることを目標にしており、弁護士や優秀な税理士が審判官を務めるようになって、かなりの程度において改善が見られているのかも知れない。「国税不服審判所で議論した方が、税法を理解しているとは言えない裁判所よりもよっぽどましだ」と言う弁護士さえいる。ただし、この問題を不服前置強制主義と関連して理解してはならない。不服前置かどうかは、納税者の選択によればいいからである。 P63 税法は租税法律主義に基づいて運用され、課税と徴収が行われていくのであるから、税法を取り扱う者は法律家でなければならない。法律家でなければならないと言っても、法曹資格を有しなければならないと言っているのではない。 |
松村雄二 笠間書院 2024/01/11 母親がつぶやいていた辞世の歌が紹介されていた。 そんなことが気になって手に取った一冊。 いや、私は、何と歌おうか。 「長いようで短い」、そんな当たり前のことは語らない。 「多様な方の善意で」と、そんな当たり前のことも語らない。 「良い時代、良い人生」と、そんな当たり前のことも語らない。 「子供たちよ仲良く」とも語らない。 「多様な人たちに感謝と謝罪」とも語らない。 「妻に感謝」と語るのもわざとらしくて恥ずかしい。 「パイナップルが食べたい」と語ろうかな。 いや、「悔しい、悔しい」と語る終わり方はしたくない。 うん、我が家の口癖、「良かったね」と語ろう。 P14 豊臣秀吉 露と落ち露と消えにしわが身かな浪速の事も夢のまた夢 最期にあたっても悟りきれず、しかし「夢のまた夢」などといかにも悟ったような大仰な言葉を示し、秀吉らしいきざな身振りが感じられる歌である。型のごとくこの世は夢というが、むしろ、彼の夢のために犠牲になって死んでいった人間の方が多かったというのが実際であろう。 P36 林子平 家もなく妻なく子なく版木なく金もなければ死にたくもなし 自ら六無斎と自嘲した六つの「無」が悲しい。畳みかけるように五つの無を列挙した挙げ句に、六つめ「死にたくもなし」と正直に告白したのは、よほど残念でならなかったのであろう。こんな率直でしかも悲痛の思いをうたった歌は、無慮数万の日本の歌の中でもほかにはない。 P92 太宰治 池水は濁りに濁り藤波の影もうつらず雨ふりしきる 太宰は、しばしば坂口安吾や石川淳、壇一雄などと並ぶ戦後無頼派の一人とみなされているが、大人としての通常の人間関係が出来ず、一生を恥と偽善の感受性のないまぜの中で苦しみ続けた生き方は、他の無頼派にあったような居直った強さとはついに無縁であった。 |
黒坂 真由子 日経BP 2024/01/11 580ページの分厚い一冊。 自身がADHD(注意欠如多動症)の場合も、ASD(空気が読めないやこだわりの強さ)の場合も、子が、それらに該当する場合も、いや、個性の多様性を理解するためにも必読の一冊。 P27 発達障害は生まれつきのものです。ポジティブに表現すれば、「脳の個性」ということもできますが、個性ですから「治る」ことはありませんし、基本的な特性は変わることはないのです。 P42 時間的変化だけでなく、場が変わるだけでも障害にならないことがあります。 ある銀行員の方は、発達障害の特性から、職場でのコミュニケーションに悩んでいました。ところが、米国に赴任になった途端に悩みは「まったくなくなった」といいます。米国社会では、明確な言葉で説明するのが当たり前で、「空気を読む」必要がないからです。 P27 P42 P52 P56 P70 |